バトルフィールドオブチルドレン

第17話 決勝トーナメント前半戦


昨日と同じように特設闘技場から花火が上がる。

今日は雪王大会決勝トーナメントの日だ。

そしてもうそろそろそれが開幕される。

そんな中俺は二日酔いのせいでふらふらになっていた。

 

「うっ、くそ……斉藤と久瀬め自分達がトーナメントに出ないからって酒を無理やり飲ませやがって」

 

もう闘技場の入場口にいる俺は観客席の方を見る。

そこにはこっちを見てにやついている斎藤と久瀬、そしてそれを見て呆れている香里がいた。

絶対に勝ち残ってやるからな。

 

「祐一、大丈夫?」

「名雪か、多分大丈夫だ」

「無理はしないでよ」

「分かってるって」

 

とは言いながら無理することになるかなこの状態では。

そうこうしていると時間になったようで放送が始まる。

 

『お待たせしました。これより決勝トーナメントを開催します』

 

観客席から歓声が上がる。

 

「舞、お互い頑張ろうね」

「はちみつくまさん」

「お姉ちゃんの分まで頑張ります」

「打倒、相沢祐一」

「うぐぅ、みんな強そうだよ」

「あゆちゃんも十分強いから大丈夫だよ」

「あと一回勝てば美坂と、ぐふふふふ……」

「とりあえず、早く二日酔いが治らないと話しにならないな」

 

『それでは対戦カードを発表します。まず前半二試合は美坂栞選手対川澄舞選手、もう一つは倉田佐祐理選手と月宮あゆ選手です』

 

よし、俺は後半のようだな。

これでなるべく酔いを覚まさないといけないな。

そして決勝トーナメントは二試合ずつ同時に行うのだ。

もちろんリングは二つにちゃんとなっている。

 

『さて、前回の優勝、準優勝者の二人と新人選手二人の対決だ。面白い対決になりそうです』

 

そしてそれぞれ闘技場に上がる。

 

『それでは、決勝トーナメント前半戦……はじめ!』

 

 

 

<あゆ視点>

 

ついに始まったよ。

相手は前回の準優勝者だから気をつけないと。

昨日の戦いから佐祐理さんは魔法主体の遠距離からの攻撃を得意としているみたいだから接近戦に持ち込んだ方がいいね。

それに今日はこのあとも勝ち残ったら試合があるから短時間で決着をつけないと。

そう思ってボクは昨日と同じように高速移動にスピードの魔法をかけて佐祐理さんに向かう。

正面は危険だから後ろからいくよ。

そして瞬間に佐祐理さんの後ろに回りこんで斬ろうとする。

佐祐理さんはまだ前を見ていて気づいてないみたい。いける!
フレイムウォール
「焔の壁!!」

そう思った瞬間、地面から炎の壁がせり上がってきた。

ボクはそれを急ブレーキをかけて後ろに下がって避ける。

 

「あ、危なかったよ」

「あゆさん甘いですよ。佐祐理が遠距離の攻撃が得意だから接近戦をしてくると簡単に読めます」

「うぐぅ……」

「読めたらそこにトラップを仕掛けておくことなんて簡単ですから」

 

どうしよう予想以上に佐祐理さん強すぎるよ。

 

「あゆさんは魔物とかとの戦いは慣れているかも知れませんがこういう試合は慣れていないですからね。
こういう試合は自分の戦法も相手の戦法もお互い分かってますからもっと考えないと」

 

うぐぅ、痛いところつかれたよ。これは少し様子を見た方がいいね。

 

「じゃあ、今度は佐祐理からいきますねー」

 

そう言うと佐祐理さんは右手に持っていたチャクラムをブーメランのように飛ばしてきた。

それを右に避けると既に目の前に氷の矢が飛んできていた。

驚いたボクはなんとかそのままもう一度右に避けることが出来た。


                       シャイン
「あははーあれを避けましたか。では、閃光!!」

 

しまった今度は目くらましの魔法だ。

それをまともに受けたボクは視界が光で真っ白になりほとんど何も見えなくなる。

何か嫌な感じがしたボクは飛翼族の象徴である白い翼を出現させて飛び上がる。

その直後、ボクがいたところに何かが飛んできたのがかすかに見えた気がした。

 

 

 

 

その頃もう一つの試合は

 

 

 

<舞視点>


      ライトニングブリット
「いきます、雷電弾」

 

栞の銃口から雷が迸る。

私はそれを避け続けている。

そして栞は弾がきれたらリロードしてまた撃つ。

試合が始まってから今までずっとこの繰り返しが起こっている。

やはり戦ってみると想像以上にあの銃がやっかい。

昨日の予選とキラービーとの戦いである程度どういうものなのか分かっていたんだけど。

なかなか接近戦に持ち込むことが出来ない。

 

「……その武器ちょっとずるい」

 

小声で言ってみる。

意味は全く無いけど少し気分がすっきりした。

   フレイムブリット
「次は火炎弾ですぅ」

「くっ……」

 

このままではきりが無い、どうしよう。

そう思っていると少しの気の緩みから足を滑らせてしまった。

 

「チャンスです」

 

栞の銃から炎が放たれる。

私は剣でそれを受け止めようとする。

 

「くぅぅ……」

 

そして少し押されはしたけど何とか受けきった。

けど反動で剣がはじかれて無防備な状態になった。

私はすぐに弾をそこに打ち込まれるだろうと覚悟をした。

でも、弾はやってこなかった。

ちょうど弾が切れて込めなおしていたのだった。

そしてその時攻略法を思いついた。


    フリーズブリット
「今度は氷結弾ですぅ」

 

そして栞の弾込めが終わってまた発射される。

それを私は何発撃ったかを数えながら全て避ける。

全部で十発。

 

そして栞が弾込めをはじめて撃つ。

 

ドンッ!

 

「……一発」

 

ドンッ!

 

「……二発」

 

ドンッ!

 

「……三発」

 

ドンッ!

ドンッ!

ドンッ!

………

ドンッ!

 

「……九発」

 

いま!

そして私はこの九発目を避けた後、栞に突撃をかける。

最後の十発目は剣で受け止める。

今度は不意をついて無いからしっかりと受けきった。

少し剣が凍りついたけどまだいける。

そして栞が慌てて弾を込めているときに一気に間を詰めて首に剣を当てる。

 

「どうする」

「……私の負けです」

 

そして少しの静寂のあと。

 

『おっと、片方の試合は終わったようです。勝者は去年の覇者、川澄舞選手〜!』

 

放送が入って歓声が沸き起こる。

そして闘技場を降りた私は佐祐理達の試合の方を見た。

 

 

 

 

<佐祐理視点>


フレイムアロー
「炎の矢!」

「当たらないよ」

 

あゆさん思ったよりやりますね。

はじめは簡単に動きが読めていたけど空中に飛んでしまってから動きの幅がでてしまって読めなくなってきました。

それにあのスピードですし攻撃を当てようとするのも一苦労です。

と、そのとき放送が聞こえて歓声が起こった。

どうやら舞が勝ったようですね。

では佐祐理も頑張らないと。

ではまずどうにかしてあゆさんの動きをある程度封じていかないといけませんね。

なら……


  アイシクルブリザード
「噴きつける冷気です」

 

佐祐理はその魔法をとにかく上空に向かって放ち続ける。

 

「そんなでたらめに放ち続けてもボクには当たらないよ」

 

そういってあゆさんは上空から急降下してきて佐祐理に切りかかってくる。

佐祐理は両手に持っているチャクラムで防ごうとする。

けど、スピードに追いつけなくて左肩口を切られてしまった。

まだ傷口は浅かったので血がにじみ出てくるぐらいなのが幸いですね。

 

「やってくれますね」

「ボクのスピードに追いついてこれるかな」

 

あゆさんが得意そうな顔でそう言った。

どうやら佐祐理の仕掛けにまだ気づいていませんね。

そしてあゆさんはまた空に上がっていこうとする。

けど急に顔色を悪くして降りてきた。

 

「佐祐理さんこういうことだったんだね」

「気づきましたか」


        アイシクルブリザード
実はさっきの噴きつける冷気はもともと当てる気は無かったんですね。

ここは目には見えなくても結界を張られている密閉空間、その上空に冷気を充満させて空を飛んだら凍るようにしたんですよ。

 

「ゆっくり上がっていってたから助かったよ。翼はちょっと凍っちゃったけど」

 

そう言ってあゆさんは翼を隠した。

ぎりぎり気づかれたのは残念です。

けどこれで行動範囲をかなり縮小できましたからよしとしましょう。

で、問題はここからですね。始めの魔法でなかなか迂闊に攻撃してこなくなったのでこちらから攻めていかないといけませんね。

でもあのスピードは行動範囲が狭くなったとしても変わらないですし。

はやく決着をつけないと舞の休憩時間が長くなって回復させてしまうだけですし。

これはこちらの体力、魔力をあまり考えないで早期決着を狙った方がいいかもしれません。

 

そう考えていると体がなにやらひんやりしてきたのを感じた。

……そうか、そうでした。佐祐理としたことがすっかり忘れていました。

ならあの方法が使えますね。

都合がいいことに佐祐理が闘技場の中心にいてあゆさんは端の方ですし。


         フレイムブレス
「いきますね、灼熱の息吹」

 

そして佐祐理は魔法を使う。

あゆさんに向かって高温の熱風が襲い掛かる。

 

「ボクを火傷させる気かは知らないけど、そんなあからさまに使ってきたって当たらないよ」

 

そういって軽く避けるあゆさんを気にせずまた放ち続ける。

やっぱりあゆさん気づきませんね、さっきの攻撃と似ている所から何かあると思わないのですかね。

まあその方が好都合ですけど。
      フレイムブレス
佐祐理の灼熱の息吹を避け続けるあゆさんを見ながらそう思う。

 

 

 

このぐらいでいいですね。
                  フレイムブレス
そう思い少しの間使い続けた灼熱の息吹を止める。

 

「もう終わり?」

「はい、佐祐理の勝ちが決定しましたからー」

「何を言ってるんだよ。ボクはまだ戦えるよ……ってあれ、足が動かない」

「あははー、動けないでしょう」

「何をしたの」
                    アイシクルブリザード
「簡単に言うとですね、佐祐理の噴きつける冷気で足が凍ってしまったんですよ」

「そんなはずは、だってそれがきたら急激な温度の変化で分かるはずだよ。今だって少し冷えるぐらいで……ってそうか」

「分かりました?普通気体は暖かいのは上に冷たいのは下に行く性質をもっています。
                フレイムブレス
そこで佐祐理は灼熱の息吹で下に暖かい空気を起こして上の冷気を下に戻したんですよ。
さすがにそのままとはできなくて少し熱風と混ざって威力が薄くなってしまいましたが逆にいいカモフラージュになりました」

「うぐぅ、ボクの負けだよ」

「あゆさんはもう少し密閉空間での戦い方や状況判断をみがかないといけませんね」

 

『もう一つの試合も終わりました。勝者は去年の準優勝、倉田佐祐理選手でした〜!
やはり今回の優勝候補二人が準決勝に進出しました。けど今回初参加の二人も大健闘をしました〜それでは次は後半戦です!』


軽い説明(魔法について)

 

この世界の魔法は三種類の要素から成り立っています。

 

まずはイメージ、想像力。

前の北川戦で本文に書いたとおり頭でイメージしたことしか魔法として使うことが出来ません。

よく魔法を使う前にその名前を言うのはイメージをしやすいからです。逆に言うとイメージさえできれば何も言わずに使えます。

ちなみに古臭い名前(ファイアボール等)が多いのは初代伝説の勇者(初代の魔王を倒した人物)が使っていた名前です。

これもイメージしやすいから一般的に今でも使われています。さらにこれも逆に言うとイメージさえ出来れば名前は何でもいいです。

 

次は魔力です。

いかに強い魔法をイメージできてもその魔法を発現できるだけの魔力を持ってないといけません。

 

最後に当り前かもしれませんが魔力をコントロールする力です。

イメージしてそれを使う魔力があっても、その魔力をコントロールできなければ暴走する恐れがあります。

 

この三種類がそろってようやく魔法が使えるのです。


あとがき

 

どうもマサUです。

また前回よりかなり時間が経ってしまいましたすいません。

祐一「いつものこととはいえ情けないな」

はい、全くそのとおりです。

祐一「それで今回は決勝トーナメント一回戦の前半戦だったが……なんかあゆ弱すぎないか」

そ、それはあゆの攻撃はやはり単純なものが多くてですね。周りの状況の把握がまだ少し甘いのです

いつも魔物とかと戦っているときは屋外で戦うことが多いですし、相手の魔物はあゆのことなど知らないので動きを読まれないのです。

今回はそれが結界内で自分の戦法を知っている相手なので弱くなってしまったのです。

祐一「ほう、一応考えていたわけだ」

それよりも今回の話で舞や佐祐理さんの話し方がどんなんだったか悩みました。

変な所があったら教えてもらえないでしょうか。

祐一「で、次の話はどんなのになるんだ?」

次はですねもちろんのこと後半戦に入ります。けどネロのこともあるのでどうなることか。

と、そういえばネロについてですが月姫にでてくるのとは違います。マサUは月姫をほとんど知らないので。

名前の由来は昔ビックリマンにそういう名前の敵がいたなというところからです。

それでは。

 

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もらえたらかなりうれしいです。

 

  

 

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