バトルフィールドオブチルドレン
第13話 雪王大会予選その5
「ふう、疲れた〜」
「お疲れ様です北川さん」
「……頑張った」
「あ、ありがとうございます倉田先輩、川澄先輩」
Eブロックが終わって10分ぐらいが経ち北川が帰ってきた。
「遅かったな北川、もうあゆの予選が始まるぞ……あ、始まった」
横でファイアーボールが天高く上っていく。
「ちょっと斉藤の怪我の具合を見に行っててよ。まあ大したことじゃないみたいだったから良かったけどな。な、斉藤」
そう言って北川が後ろを見る。
そこには顔を赤くして柱の陰に隠れている斉藤の姿があった。
さっきの戦闘のときとはえらい違いだな。
「ついでだから連れてきたんだ」
「あ、本当に斉藤君だ。怪我大したことなかったみたいで良かったね」
「え、あ、はい……」
「どうしたの?顔が赤いよ熱があるんじゃない」
「な、何でもないです。あ、俺ちょっと久瀬に用事があるのでそれでは」
そう言って斉藤は走ってどこかに行ってしまった。
「あーもう、せっかく連れてきてやったのにチャンスを生かせない奴だな」
「斉藤君大丈夫なのかな」
名雪が心配そうな顔で言う。
「はぁ、鈍感ね」
「香里何か言った?」
「何も言ってないわよ」
ふう、よく名雪が俺のこと鈍感だとか言うけど名雪の方がよっぽど鈍感だと思うな。
あそこまで名雪の前でだけ顔を真っ赤にしてガチガチに固まっていたら、好意を持っていることくらい分かるもんだが。
「それにしても北川さんその武器すごいですぅ。どうしたんですかその武器」
「北川君自身も急に強くなっていたし、どこで特訓でもしていたのかしら」
「特訓の方は人通りの少ない道の近くでやってたんだよ。言われたら「ああ、あそこか」と思うようなとこだと思うぞ。
それでこの武器はその特訓をしていたときに久瀬に見つかってな、そのとき久瀬と一緒にいた人に作ってもらったんだよ」
「ヴァイザードさんね」
「美坂よく分かったな」
「こんな良い武器を作る職人であたしのお母さんを除くと元カノン王国の騎士団長をしていたヴァイザードさんぐらいしかいないもの。
まあ、久瀬君と一緒にいたって所から分かったんだけどね。久瀬君のお父さんが現騎士団長をしているから」
「それで名前はヴァイザードさんの名前を取ってヴァイザーランスっていうんだけどな」
「そのまんまな名前ね……」
「とりあえずこれで予選は突破したからな。あと一回勝ったら賭けは俺の勝ちだからな、美坂」
北川が少しにやけた顔をしながら言った。
「分かってるわよ」
と話し込んでいるとFブロックの終了の放送が流れてきた。
『これにより予選Fブロックから決勝トーナメントに勝ち残ったのは月宮あゆさんに決定しました』
「あ、やば。あゆの戦い全く見てないぞ」
その言葉を聞いてみんなもはっとした顔をした。
そしてしばらくしてあゆが帰ってきた。
「祐一君、ボク勝ったよ」
ものすごい笑顔で聞いてくる。
「や、やったな、あゆ」
「ちゃんと見ててくれた?」
う、その笑顔で言わないでくれ。
「お、おう、あたりまえだろ。なっ」
俺はみんなの方を向いて話を振る。
う、やっぱりみんなこっちに話し掛けるなって顔をしてくる。
しかたないだろ、あの顔で言われたら本当のこと言えないだろーが。
「どうしたのみんな、祐一君をにらんでるような感じがするけど」
「え、いやなんでもないよ。あゆちゃんおめでとう」
「おめでとう……決勝トーナメントで戦えるのを楽しみにしている」
「ありがとう」
「わ、しまったよもうすぐわたしの出番だよ」
「そ、そうか頑張ってこいよ」
「そういえば次、名雪さんの出番だったね、ボク応援頑張るよ」
こうして名雪の機転……ではないけどあゆの気をそらしてごまかすことが出来た。
『それではこれより雪王大会予選Gブロックを開始します』
その放送とともにもう7回目になり見慣れてきた、試合開始の合図であるファイアーボールが撃ちあがる。
名雪は闘技場中央付近にいる、去年のベスト4だから周りから狙われて場外に落ちないためだろうな。
で、予想通りに名雪の周りに他の選手が集まってくる。
けど、名雪の武器である鞭の射程内にはなかなか入ってこない。
これまでの予選でむやみに突っ込んでも負けるって事がわかってきてるみたいだな。
けど、いくら強くても女の子一人を大勢で囲んでいるてのは見ていて情けないものがあるな。
そう名雪を中心にしてその周りにドーナッツ状に密集している他の選手を見て思う。
それ以外でもドーナッツが2つほどあるけど、そっちは中心が男なのでそこまでは思わない。
けどむやみに突っ込まないのはいいけど、そのまま膠着状態になるのはだめなんだよな。
絶対に我慢しきれなくなる奴が出てくるんだよ。
そして俺の思ったとおりに名雪のドーナッツから膠着状態が我慢できずに突っ込もうとする奴が出たきた。
しかもそれがその輪の外側の奴だった。
これは名雪にとってラッキーかもしれないな。
そいつが突っ込もうとしていく、すると中に入り込んでいかないといけないからどうしても他の人にぶつかる。
で、そこから争いが起きる、そこまでいかなくても気がそれて隙が出てくる、そして余裕で倒せるようになる。
そして名雪は魔法主力の戦い方をするのに魔法を一切使わずに決勝トーナメントに出場決定した。
他の二つのドーナッツはどうしたんだというと、あーいうのは外側からの攻撃に弱いからあっという間に名雪が蹴散らしてしまった。
そしてついに……
『続いて10分後にラストHブロックの予選を開始します。出場選手は闘技場までおこしください』
俺と香里が出る最後のブロックがあと少しで始まろうとしていた。
「祐一絶対勝ってね」
「そうですよ、お姉ちゃんになんかに負けないでくださいね」
「あははー、佐祐理たちも頑張って応援してますね」
「……ファイト一発」
「おう、頑張ってくるぞ」
みんなから応援の言葉を受ける。
「あたしには応援の言葉は無いのかしら」
「ありません、だってお姉ちゃんが勝ったら祐一さんに何お願いするかわかったもんじゃありませんから」
「俺は応援するぞ美坂、まあ相沢が勝つことは無いと思うけどな」
「よし、もうそろそろ行かないと時間がやばくなってきたな」
「そうね、それじゃまあお互いに最善を尽くしましょう」
「なんだか余裕そうな顔だな」
「まあね、相沢君には勝てる自信があるから」
「ふっ、その言葉忘れるなよ」
『お待たせしました。これより、予選Hブロックを開始いたします』
そして本日最後のファイアーボールが天に上っていった。
あとがき
どうもマサUです、13話です。
祐一「遅かったな」
いや〜ちょっと日記を読んでもらえたら分かるんだけど友人に真三國無双3というゲームを借りてはまってました。
祐一「まあいつものことだな」
そういわれると言葉も無いです。
祐一「それにしても今回は2ブロック終わったな。しかもろくに戦闘シーンもなしで」
そ、それはですね戦闘シーンがなかなか思い浮かばなくなってきたのと、展開が遅いのでっていう二つが理由です。
どちらかというと後者が主なんですけど。
祐一「ほんとか?俺には前者の感じがするが」
これは本当です。13話まできているのにいまだに物語の本筋に全く入っていないんですから。
あと2、3話中には本筋に触れていけると思います。
祐一「はあ、なんか先が思いやられるな」
またまた、言葉も無いです。
祐一「それじゃ、次は14話だな。俺と香里いったいどっちが勝つんだ?」
それは次になったからです。
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