「……もう手加減しませんよ」
「もとよりこっちもそのつもりだ」
「オレもだ。ここ2ヶ月お前の攻撃方法を見てきたからな、そう簡単にはやられるつもりもない」
「北川君それは僕も同じですよ、というかAAランクの力を見せてあげます」
「それでは…」「いっちょ…」「いくか!」
そうして本当の三つ巴の戦いが始まった。
バトルフィールドオブチルドレン
第12話 雪王大会予選その4
<北川視点>
「いきますよ」
久瀬が鎌を構えて攻撃態勢に移る。
オレはそれに向かっていく、攻撃されるよりむしろ攻撃しろだ。
「甘いですね」
オレの槍は刃の部分が長いので普通の剣みたいに切ることも一応できる。
それでオレは久瀬に切りかかったのだけど鎌で簡単に受け流されてしまう。
「うわっ」
オレはそのせいで少しよろけてしまった。
久瀬はその隙を逃さずに鎌を振り下ろしてくる。
オレは何とかそれを横に飛んで避ける。
そしてオレは立ち上がって体勢を整えようとするが、その隙を与えないとばかりに次の攻撃を仕掛けてくる。
しかもさっきの攻撃よりも遥かに早い振りだ。
明らかにオレの行動を先読みされている。
くそっ、避けられない。
とそのとき久瀬の横からスイカぐらいの大きさの火球が飛んできた。
久瀬はオレを攻撃するのを止めて後ろに避ける。
「ちっ、やはり僕のほうを攻撃してきましたか斉藤君」
「そりゃそうだろう、ランク的に言っても俺よりお前のほうが上なんだから。それに一対一になったら不利になるしな」
二人が話しているうちにオレは少し後ろに下がりながら立ち上がる。
「ふう、助かった」
やっぱりAAランク伊達じゃないな。特訓のときはぜんぜん本気を出していなかったみたいだ、動きがぜんぜん違う。
「それにしても、いきなりフレイムボールを使ってくるとは思いもよりませんでしたよ」
「まあな。牽制ぐらいならファイアーボールで十分なんだけど、お前が結構北川との戦いに夢中になってるように見えたからな」
「だったら当たるかもと思ったんですか。あなたも甘いですね」
軽い笑いが起こる。
そのあと一瞬の静寂な時間が流れる。
そしてオレはまた久瀬に向かっていった。
左を見ると斉藤も久瀬のほうに向かっていっている。
斉藤のほうも一応久瀬狙いみたいだな、けどいつこっちにも攻撃してくるか分からないから気をつけないと。
逆にオレが久瀬の狙いながらも斉藤にもダメージを与えるようにしていかないと。
「うおぉぉぉ」
斉藤が久瀬に切りかかる、久瀬はそれを鎌で受け止める。
「もらった」
オレはそれで開いた左側に突きを入れようとする。
けど久瀬はにやっと不敵な笑いをした。
「フレイムボール」
そして久瀬の左手からフレイムボールが出てきて俺に向かってくる。
「この距離ではかわすのは不可能ですよ」
フレイムボールはオレの目前まで迫っている。
「くそっ……けどな!」
オレはそう言って突き出そうとしている槍を無理やり自分の胸の引き寄せる。
そしてそこにフレイムボールが激突する。
<久瀬視点>
北川君に僕が放ったフレイムボールが直撃する。
そして爆煙が巻き起こって北川君の姿が見えなくなった。
けどあそこまでまともに当たったのだからもはや戦闘不能でしょう。
「北川!」
斉藤君が叫ぶ。
「残念でしたね、これで一対一になりましたよ」
「けっ、確かにさっき不利にはなると言ったけどよ。負けるとは言ってねえだろ」
「勝つ気でいるんですか」
「当り前だのクラッカーだ」
「ギャグが古いですよ」
「う、うるせえ」
鍔迫り合い続けながら斉藤君と話す。
「おい、お前ら勝手にオレが倒れてること前提で話すなよな」
すると晴れかけてきている爆煙の中から声がしてきた。
そしてだんだんと北川君の姿が現れてくる。
「へへっ、久瀬、オレに魔法を撃ってきたのは間違いだったな」
しかも北川君は槍でいまだにフレイムボールを受け止めていた。
そ、そんなバカな!
僕は鍔迫り合いをしている鎌に力を入れるのを忘れるほど驚いた。
そしてはっとして、急いで斉藤君の方を向く。
そうしたら僕と同じく斉藤君も驚いた顔をしていた。
<北川視点>
ふう、危なかったぜ。
あと少し槍を引き寄せるのが遅かったらやられていたな。
けど流石だなこの槍、あの人の作品だけのことはある。
そして前を見ると驚いている斉藤と久瀬がいる。
この二人の驚いた顔もめったに見られるもんじゃないな。
へへっ、ならついでにもう一つ驚かせてやるか。
そう思って、オレは腕に力をこめてフレイムボールを受け止めている槍を思いっきり前に押し出す。
するとフレイムボールが久瀬の方に向かっていく。
「喰らえ、フレイムボール返しだ」
「なにー跳ね返した!なぜだっ……そうかその槍か……」
「くっ、このままでは巻き添えを喰らっちまう」
久瀬がそう言った直後、オレが跳ね返したフレイムボールが斉藤の右手に掠り久瀬に直撃する。
そして斉藤は右手に火傷を負って斧も吹っ飛ぶ、久瀬は倒れたまま起き上がらない、気絶したみたいだ。
……や、やった。久瀬を倒したぞ!
運も少し重なったけど勝ちは勝ちだ。
あとは斉藤だけだな。
でも久瀬も最後に気が付いたか、この槍の能力を。
この槍は魔法を跳ね返す力がある、といっても限界はあるみたいだけど。
今のも受け止めてから跳ね返せるまで時間がかかってしまったし、このことを知っていたら追撃されていて危険だったな。
久瀬との特訓のとき魔法禁止でやっていて良かった〜
それにしても久瀬、本当に驚いていたんだな。
オレとの距離が5〜6mぐらいしかなかったから完全に避けきれるかわからなかったけど、避ける仕草さえおこさなかったなんて。
斉藤がいたけど、あいつも驚いていていたから出来たはずだし。
それに魔法をぶつけて相殺する方法もあったけどこれもしなかった。
いや、少し手が動いていたから出そうとしても出なかった可能性もあるかな。
魔法は頭の中で描いたイメージをそのまま現実世界に投影する力だから驚きすぎてイメージがわかなかったのかも。
ま、とにかく今は目の前にいる斉藤とどう戦うかだな。
……………思い浮かばない。もういい、こんなの俺の性に合わない当たって砕けろだ。
と意気込んでいこうとしたら。
「俺、ギブアップします」
斉藤がいきなり棄権すると言ってきたのだ。
オレは唖然とした。
会場もいきなりのその言葉で騒然としている。
そしてオレは何かバカにされた感じがして斉藤に詰め寄る。
「おい斉藤どういうことだ、ギブアップなんて」
「どうもこうも言ったとおりだ」
そのさっきと違う斉藤の冷めた口調でオレは怒って斉藤の左腕をつかんだ。
すると斉藤の顔から急に汗が出てきて苦痛な顔をした。
「お前……もしかして」
そしてオレはすぐに斉藤の左腕の袖をまくる。
するとそこには肩から肘にかけて斬られたあとがあった。
「ばれたか、はじめに大勢に襲われたときに油断しちまってな。一応動くし利き腕は大丈夫だから何とか勝てると思ったんだけどな」
一応動くって結構ひどい怪我だぞ、かなり痛かったはずだ。
「けど利き腕の右手もさっきのフレイムボールでこの火傷だ。おまけに斧も吹っ飛ぶし、もう勝つ方法が思い浮かばねえよ」
そして斉藤は魔法も跳ね返されるから使えないしな、と付け加える。
「さあ、これでお前は決勝トーナメント進出だ。俺たちの分も頑張ってくれよな」
そう言って斉藤は闘技場から降りていった。
『え、えーと斉藤選手がギブアップと言うことで、Eブロックから決勝トーナメント進出は北川潤選手に決定しました』
そして放送が聞こえてきた。
そういえばこの予選の間、放送というか実況が全く聞こえてこなかったな。
それだけ真剣にやってたのか、逆に全く余裕がなかったのか、たぶん後ろの方だろうな。
『今回の試合は今までの中で一番長い予選でした。あと一分で一時間が経過して特殊ルールが施行されるところでした』
そうかそんなに時間が経っていたのか、危なかった。
この特殊ルールは危険な事の方が多いからな。
でももう終わったことだ。
なんにせよ疲れた〜
あとがき
どうもマサUです、BoC第12話やっと書き終わりました。
先週中に書き上げるつもりが一週遅れになってしまってすいませんでした。
香里「ちょっと」
今回は香里ですか、この前あなたがここに出たときはひどい目にあったぞ。
香里「それはあなたが悪いんでしょ。そんなことより何なの今回の話は!」
え、何かありましたっけ。
あ、そうか久瀬や斉藤の話し方がおかしい所か、なんか久瀬は某奪還屋に出てくるメス持ってる人が少し入ってたりしてるし。
香里「違うわよ」
じゃあ久瀬が本気出すとか言ってたのにそうは見えないとことか。
それとも戦闘の終わり方が急すぎるとか、それはもう私の技術不足です。なんかもう三つ巴の戦いを思い浮かばなくて。
香里「それも違う。あたしが言いたいのは何で北川君が勝ち残ったのかよ」
それはどういう?
香里「あと一回勝ったらあたしが一個なんでも言うこと聞かないといけないって賭けをしてたでしょうが」
そういえば、けどあと一回勝たないといけないから。
香里「なら決勝トーナメント一回戦で北川君は負けるのね」
それはまだちょっと分からないですね。
香里「ほう……じゃあ北川君が勝ち残る可能性もあるってこと」
あるかな。(なんか雰囲気が悪くなってきたな)
香里「なら、これからその可能性がないというまで話し合いましょうか」
それはもはや話し合いではないような。(やばい、これは逃げた方がいいな)
ダッシュ!
香里「あ、逃げたわね。もう逃げ足だけは速いわね。待ちなさい!」
……よし香里は向こうに行ったな。
それでは第13話で。
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