バトルフィールドオブチルドレン
プロローグその3 帰ってきました我が故郷
「ふう、風が気持ちいいな」
「そうだね」
今、俺たちはなんとスノウアイランドに向かう船に乗っている。
なぜそんなことになっているかというと。
昨日魔族を倒した俺たちは村長さんの家に泊めてもらい、今日の朝スノウアイランドの方向を教えてもらおうとした。
すると村長は家の裏に俺たちを連れてきた。
そこには広大な海とその向こうに大陸が見えた。
それがスノウアイランドだった。
村長さんはスノウアイランドに向かう船があったので、それに俺たちも同乗させてくれて今にいたる。
昨日、あゆがこの町を空から探したときに、何でその後ろが海だと気づかなかったのかと思ってさっき聞いたら。
『お腹がすいて食料のことしか考えてなかったから目に入らなかったよ』だそうだ。
少し腹が立ったが、そうなったのは俺の方向音痴が原因なので何もいえなかった。
「あんちゃんに嬢ちゃんスノウアイランドに着いたぜ」
船に乗って3時間ぐらい経ったころ船長さんがそう言った。
そして目の前に広がる見覚えのある大陸。
やっと帰ってきたんだなと実感する。
その後、上陸した俺たちは船長さんにお礼を言ってカノン王国を目指した。
今度はあゆを先頭にして船長さんから聞いた道を歩いていく。
そして2時間も経たないうちに、カノン王国の女王が住んでいる城と、その城下町が見渡せる小高い丘にたどり着いた。
「長い旅だった。だが、それもこれで終わりだ」
「よかったね、祐一君」
横であゆが言葉とは違って寂しそうな声で言った。
「でも、これでお別れだね」
次に言ったこの言葉で俺はその意味をが分かった。
「ああ、そうだったな……俺がカノン王国にたどり着くまでだったもんな。二人で一緒なのは」
「うん……」
「今までいろいろとありがとうな。あゆは何か探しものがあるんだったけ、見つかるといいな」
「ありがとう」
「何か無い限り、俺はこの国にいるはずだから、もしここに寄る事があったら会いに来てくれな」
そして俺とあゆは軽く握手をして別れた。
「さて、まずは我が家にでも帰るかな。七年ぶりだからな親父たち元気にしてるかな」
そして七年前の記憶を頼りに我が家の場所を思い出す。
えーと、確か城があそこだから……ここから城を挟んで反対側の丘に上にあったはずだな。
やっと親父や母さんにあえるな。
そう思いながら歩き出す。
けどやはり隣に誰もいないのはさびしい感じがする。
というわけで、家に向かったわけなんだけど……また道に迷ってしまった。
今日で迷ってもう5日かな、しかも森の中で。
くそ、これなら最短距離で城下町を突っ切っていったほうがよかった。
そっちなら知ってる道だったから迷うことなんてなかったのに。
何で、妙な懐かしさからちょっとだけ遠回りして行こうなんて思ってしまったんだろう。
「ああ……腹減った」
1日で家に帰れると思って、食料はあゆに全部上げてしまったのでもう飯抜き4日だ。
もう歩く力がなくなってきたな。
今日、昼飯が食べれなかったらやばいかもしれないな。
それでも頑張って歩いていると森の中で少し開けたところに出た。
「あれ、なんかこの場所に見覚えがある……」
そうだ、親父に小さいころ剣術を教えてもらっていた場所だ。
なら道が分かる、家はこっちだ。
そして10分もしないうちに家が見えてくる。
けど、なぜか家の前にこのカノン王国の兵士が二人立っていた。
おかしいな、何で兵士がいるんだ?警護するにしたって理由がわからないし。
確かに俺の母さんはこの国の王位継承権をもっていたけど、もうとっくにそんなの放棄してるし。
その上、親父たち自身がとてつもなく強いのでその必要が無いはずだ。
「ま、考えてもしょうがないな。行ってみれば分かるだろう」
そうしてついに家の前にたどり着いた。
「おい、そこのお前。こんなところで何をしている」
そこでやっと、俺に気づいた兵士がそう言ってきた。
「何をしているって言われても、自分の家に帰ってきただけだけど」
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「何を言っている。この家は《戦騎士》相沢祐次郎様と《生きる魔術書》相沢春夏様、そしてその息子の相沢祐一様の家だぞ」
「だから俺はその相沢祐一なんだよ」
「馬鹿を言うな。相沢祐一様は七年前から行方不明なんだぞ」
くそ、鼻から信じてくれてないな。
「だから俺は帰ってきたんだよ。何なら両親に会わせてくれよ、あの二人なら俺が本人だってわかると思うから」
「残念だが、あのお二方は祐一様を探しに行かれてそのまま行方不明になっている」
「何だって……」
そんな、あの親父たちが行方不明だなんて……
俺はこれからどうしたらいいんだ。
「何かあったんですか」
俺がそう悩んでいると後ろから女性の声が聞こえてきた。
その声を聞いたとたん兵士たちの顔が変わる。
「こ、これは女王様。どうしてここに」
「公務で少し外に出ていまして、その帰りにこの近くを通っていると声が聞こえてきまして」
そして俺が後ろを振り返ると少し動きやすそうなドレスを着た女性が立っていた。
俺はその顔に見覚えがあった、俺の叔母の秋子さんだ。
「それよりも何かあったんですか?それにこの少年は」
「いやこの少年が自分は相沢祐一だと言いまして……」
その言葉で秋子さんが俺のほうを向く。そして、まさかというような顔で俺の顔を覗き込む。
「確かに祐一さんの面影があります。本当に祐一さんでなんですか」
「そうですよ。お久しぶりです秋子さん」
俺は今出来る精一杯の笑顔で言った。
「ああ…よかった。よく帰ってきましたね」
俺の声を聞いて確信したのか、秋子さんが涙目になりながら俺を抱きしめる。
「辛かったでしょう、こんなにやつれてしまって……」
「いや、これはちょっと4日ほどご飯を食べていないせいでって……あれ?………」
そしてほっとしたのか腹が減りすぎたのか、俺は話してる最中に秋子さんの腕の中で意識を失ってしまった。
あとで思い出そうとすると秋子さんが何か叫んでていたような気がする。
最後にもひと波乱あったけど、こうして俺はやっと故郷に帰ることが出来たのだった。
そして物語はこの1年後から始まる。
あとがき
どうもマサUです。ようやくやたら展開の早いプロローグが終わりました。
今回の話はしめ方を悩みましたがこうなりました。
少し無理やりだったかもしれないです。
あと私はシリアスっぽいシーンは苦手であると発覚しました。
あゆとの別れのシーンや秋子さんとの再会なんてほんとに祐一かと思ってしまう部分もありました。
が、こういうのもいるということで。
最後に第1話からのあとがきは当時のもののままでいきます。
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