バトルフィールドオブチルドレン

第1話 始まりの朝


『朝〜朝だよ〜朝ご飯食べて学校行くよ〜』

 

耳元で目覚ましが鳴る。

 

「もう朝か……しかし懐かしい夢を見たな」

 

もう俺がこのカノン王国に帰ってきて一年も経ったんだよな。

 

あのあと意識を取り戻したときは俺はもう城に運び込まれていた。

そして飯を腹いっぱい食べて、大まかな七年間の出来事を秋子さんに話して、逆に両親のことを聞いたりしたっけ。

そのあと秋子さんの娘で従妹の名雪に会って、そういえばあの俺が帰ってきたのを知って俺の姿を見た時の名雪はすごかったな。

秋子さん以上に泣きながら抱きついてきたんだもんな。

さすがの俺もあれは少し照れくさかったな、まあうれしかったけど。

そしてそのまま俺はこの城に住まわせてもらっているんだよな。

 

「いろいろ思い出だしていたら時間が少し過ぎてるな。そろそろ名雪を起こしに行くか」

 

俺は目覚ましを止めて名雪の部屋に名雪を起こしに向かった。

 

 

 

 

「それにしても広いよな、何度見ても慣れないな」

 

自分の部屋を出てからもう20mは歩いている。

名雪の部屋は俺の部屋の隣だというのに。

そしてそれからすぐに名雪の部屋についた。

 

 

 

 

ノックをして名雪を呼ぶ。

 

「おーい名雪、起きてるか」

「うにゅ…おきてるおー」

 

よし寝てるな。

名雪が『うにゅ』とか語尾が『おー』になっているときは大概寝ているからな。

 

「入るぞー」

 

名雪の部屋はさすがに王女様らしくとても広い。

しかしその大半が目覚ましとカエルや猫のグッズに囲まれているのはどうしたものなのだろうか。

俺はいつものように数えるのも嫌になるほどの目覚ましを鳴る前にすべて止める、鳴っても全く起きないからだ。

そして名雪を揺さぶりながら起こそうと試みる。

しかし結果は……

 

「地震だおー」

 

起きない。

 

「やはり起きないか、仕方ない今日は早くも最終兵器を使うか」

 

そう言ってポケットから録音式の目覚ましを取り出す。

そしてすぐに鳴るようにセットして自分は耳をふさぐ。

 

『甘くないジャムはいかがですか』

 

がばっ

 

「い、いらないよ」

 

名雪が一気に起きて言った。

さすがに効果てきめんだな、俺が決死の覚悟で秋子さんの気づかれないように録音した甲斐があった。

 

「よし起きたな、じゃあ俺は先に食堂にいってくるぞ」

 

そう言って俺は名雪の部屋を出て食堂に向かった。

後ろでなんか声が聞こえるけど気にしない気にしない。

 

 

 

 

 

 

歩いて5分、俺は食堂にやってきた。

適当に空いている席を探して座る。

 

「やっぱり人がいっぱいだな」

「おはようございます祐一さん」

 

独り言を言っているときに挨拶をされてその方向を振り向くと秋子さんがいた。

ちなみにこの食堂はこの城で働いている兵士たちが食事をするための場所である。

ならなんでそんな場所にこの国の女王である秋子さんがいるのか?

それは、ほぼ毎日この食堂で朝食を作る手伝いをしているからだ。

すると今度は何で女王がそんなことをしているのかという疑問がわくが、それは料理が秋子さんの趣味だからだ。

それでも普通の国ではありえない光景だろう……実際秋子さんがこれをはじめたときにはいろいろ悶着があったらしいし。

まぁ今ではそんなことも無く、秋子さんの料理が美味しいということもあって兵士たちにも人気がある。

そんなことを思っていると秋子さんが俺の前の席に座ってきた。

 

「もうそろそろ祐一さんがこの国に帰ってきて一年になりますね」

「そうですねたしか去年のもう一週間したぐらいですか」

 

そう言い俺は八年前、自分が世間一般的には行方不明とされることになった事件を思い出していた。

その事件とは、偶然に起きた魔界の穴に落ちてしまい魔界に行ってしまったことなのだ。

 

魔界というのは俺達が今いるこの世界とは異なる世界の事だ。

基本的には魔界とこの世界とは繋がっていない、けど例外はある。

それは魔界の門と魔界の穴だ。

魔界の門はこっちの世界の魔術師で魔界との道が開いて欲しいと願うもの数百人ぐらいの魔力を結集して開くものだ。

そして魔界の穴は年数回あるといわれる偶然開かれる規模の小さい魔界の門みたいなものだ。

門のほうは一度開かれたら閉じようとするまでは行き来が可能であるが穴の方は片道だけなのだ。

 

そして俺はそのとき門が開いてなかったので魔界に閉じ込められてしまった。

魔界には魔族と魔物が住んでおり魔族は残忍で凶暴だとこっちの世界では言われている、特にその際たるものは魔王である。

けど事実は少し違っていて俺は向こうで野垂れ死にしそうなっていたときにある魔族に助けられた。

魔族でも人間に理解がある者が少なからずいるらしい。

魔族の特徴を知ったのもこのときだな。

 

そして数年たって開いた魔界の門を通ってここに去年帰ってきた。

今日の朝見た夢はそのちょうどここに帰ってくる直前の夢だったんだよな。

そういえばあゆは元気にしてるかな。

 

「あの時は驚きましたよ、私が公務で外に出ているときに警護の兵士たちと姉さんたちの家の前で何やら言い争っているが聞こえてきて」

「はははは……」

「おまけに始めは祐一さんが誰だかわからなかったですし」

「あの時はお金が無くて食事も風呂も何もしていなくて服もぼろぼろになっていましたから」

 

そんなことを笑いながら話していると着替えた名雪がやってきた。

 

「あれー、祐一まだご飯食べてないの」

「あ、ああ名雪がくるのを待ってたんだよ」

「そうなんだ、じゃあ早く食べよ祐一」

「そうだな」

 

 

そして10分経過

 

「ごちそうさま」

 

名雪はと……まだ食べてるな。

 

 

それからまた10分経過。

 

「おい、名雪まだか」

 

せっかく最終兵器を使って早く起こしたってのにこれじゃいつもの時間とそう変わらないじゃないか。

 

「ご飯はゆっくり食べないとだめなんだよー」

「だからといって名雪は遅すぎなんだよ、よく見りゃ20分も立ってるのに食パン2切れしか食べてないじゃないか」

「だってイチゴジャム美味しいんだもん」

「だっても何もあるかー、早く食べないと先に学校に行くからな」

「え、ちょっと待ってよ〜」

「はぁー、仕方ないなあと五分待つから早く食べろ」

 

昨日始業式があって今日から二年生の初授業なのに遅刻していられないからな。

 

「分かったよちょっと待っててね」

 

そして名雪は急いで食べ始めた。

 

 

「ごちそうさま」

「よし、いくぞ名雪」

「「いってきます」」

「はい、いってらっしゃい」

 

秋子さんに見送られながら俺たちは学校に向かって駆け出した。

これからも先が思いやられるな、これじゃ。

 


あとがき

どうもマサUです、ついに始まりました連載二つめ、梅の里のみのSSでは初連載のが出来ました。

祐一「そうだな、今回はファンタジーか」

はい、私が帰ってきたを書く前に考えていたものです。

祐一「それは結構前だな」

去年の今ごろかな、そして結局初めはこれを書くのを諦めて帰ってきたにしたんだけど。

祐一「なんでだ」

戦闘シーンがかけないから。

祐一「だぁぁー」

でも帰ってきたの方もオリキャラでかなりてこずっているけど。

祐一「両立は出そうなのか」

はい何とか予想では。

祐一「まあ頑張れや」

そのつもりです、では第2話で。(2003/5/7)

 

手直しは初めの部分が変わってます。それと秋子さんとの会話と魔界の門の説明も少し変わってます。(2003/9/20)

 

  

 

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