バトルフィールドオブチルドレン

プロローグその2 花嫁男VS花婿魔族


この世界で人間を脅かすものは3つある。

 

1つ目は今俺たちがいる世界とは違う世界の魔界に住む魔族。

2つ目は同じく魔界に住む俺たちの世界で言うところの動物と同じようなものの魔物。

3つ目は俺たちの世界の動物が魔族や魔物が放つ魔素にあてられて変貌したモンスターである。

 

で、今教会のドアが開いて入ってこようとしているのは1つ目の魔族なわけだけど……

ちらっとヴェールごしにそのドアから入ってきた魔族の姿を見てみる。

体長は普通の人の3倍くらいあって、体は一応手足があるがジェル状であちらこちらから触手も伸びている。

 

そしていろいろ観察しているうちに俺の前までその魔族がやってきた。

 

「お前か我が花嫁は」

「そ、そうですわよ」

 

魔族からの問いに答える。

それにしても、女言葉話しにくいな。

 

「ん?だがよく見ると我の望んだ花嫁とは異なるのではないか」

 

その言葉を聞いて俺は一瞬思考が停止した。

くっ、そういえば向こうから花嫁を指定されていたんだった。

その花嫁が俺に変わった言い訳を考えておくのを忘れてた。

 

「じ、実はその娘は不治の病で今朝亡くなってしまって」

 

慌てた俺はたった今思いついたでまかせを言った。

長椅子の下に隠れているあゆの方から、そんなばればれな嘘ついてどうするんだよと文句が聞こえてきそうだ。

 

「そうか、亡くなってしまったのか残念だな」

 

信じちゃったよ、思いのほかこの魔族は頭が悪いようだ。

でもそのお陰で助かったな。

 

 

そしてしばらくその魔族は残念そうにしていると、今度は俺の顔や体をじろじろと見てきた。

 

「な、なんですか」

「いや、我はあの小娘が気に入っていたんだが……お前もなかなかだな」

「へっ?」

「中性的な顔立ち、発育途中の胸、ボーイッシュなのが好みな我にとってなかなかツボにくるぞ」

 

俺はその言葉で全身を掻き毟りたくなるような悪寒を覚えた。

だめだ、女言葉でもきつかったのに、その上このセリフはもう耐えられない。

そう思った俺は魔族が気を緩めている間に、ドレスの中に隠していた短刀で魔族の右腕を切り裂いた。

 

「ぐおっっ、小娘何をするか」

「小娘じゃない!俺はこの村の村長の頼みを聞いてお前を退治する勇者だ。それに俺は男だ」

「何、男だと………よくも我を騙したな、そんな短刀と動きにくいドレスで何ができる」

 

魔族の体が水の色から怒った所為で赤色に変わる。

分かりやすい体だな。

 

「そっちこそ右腕が無いのに大丈夫なのかな」

「ふん、こんな腕などすぐに復活できるわ」

 

その言葉どおり、魔族の腕が一瞬にして生えてきた。

 

「我の体は大量の水を圧縮して魔力でジェル状にしているだけなのだ」

「くっ、それならサンダーボルト」

 

体が水なら雷の魔法だ。

 

「ふっ、効かぬわ」

 

魔族の言葉どおり、俺の放ったサンダーボルトは直撃したにもかかわらずダメージを受けたようには感じられなかった。

 

「驚いたようだな、今の我の体を形作っている水は純水だからな電気は通さぬ」

 

くそ、頭悪そうに見えたが少しは考えているようだな。

 

「今日のために体を清めようと、昨日の内に我の体を普通の水から純水に変えておいたのがよかったな」

 

何だ、たまたまだったのかよ。

まあ何にせよ、体全体が水なら他にも方法はあるからな。

 

「さあ、どうする勇者よ。切り殺すこともできない、雷も効かない、お前に勝ち目は無いと思うが」

 

魔族が余裕の声で言う。

 

「それはどうかな、やってみないと分からないと思うけど」

「ならやってみるがいい」

 

そう言って魔族は無数の触手を俺に向かって使ってきた。

俺はその向かってくる触手に両手の平を向ける

 

「じゃあいくぜ、アイシクルブリザード」

 

俺の手の平から強烈な冷気が放出される。

この魔法はその冷気に触れるものを凍りつかせるものだ。

少し魔法が上手ならその冷気を飛ばすことができるんだろうが、俺はまだこの魔法は苦手なので俺の周囲2メートルしか飛ばないのだ。

だから飛ばすというよりは体から冷気をあふれさすような感じだな。

けどこっちに向かってきているものに当てるのは容易い。

 

実際、俺に向かっている触手は先端から凍っていく。

そして俺はその触手のひとつを捕まえて、さらにそこから冷気を送り続ける。

すると魔族はそこから見る見るうちに凍り付いていった。

 

「よし、これならあとはハンマーか何かで壊せば終わりだな」

 

俺は凍り付いて彫刻となった魔族を見ながら言う。

 

「ぐ……ぉぉぉ……」

 

しかし魔族の口から声が漏れる、まだ息があるようだ。

 

「な、なぜだ……なぜ我がこうも簡単に敗れる。普通勇者でも魔族には恐怖心を抱かないはずは無いのに……」

「それはお前と会う前から、たぶん弱いだろうと踏んでいたんだよ」

 

魔族はその言葉に驚いたような顔をする。

 

「理由はこの町の周りにモンスターがいなかったからだ。普通モンスターは魔族や魔物が出す魔素に動物があたって変貌する。

けど直ぐに変貌するわけじゃない、もしそうだったらこの世界はモンスターだらけになるからな。

で、変貌するには大量の魔素か濃度の濃い魔素が必要だ。そしてそんな魔素を放出できるのは強い魔族か魔物のどちらか。

だからこの周りにモンスターがいない=強い魔族がいない=お前は弱いということだ」

 

俺はそう説明しながら戦闘中に出てこなかったあゆを探す。

 

「あ、いた……寝てるし」

 

あゆは隠れていた長椅子の下で気持ちよさそうに寝ていた。

 

「お前は何者だ……なぜ普通は知らない魔族の特性を知っている」

「もう直ぐやられるあんたに言ったってしょうがないだろ」

「それはどうかな」

 

魔族は凍り付いてしまった触手を俺に飛ばす。

 

「くそ、まだ動けたのか」

 

俺は飛んでくる触手を後ろに飛んでよける、そして寝ているあゆの足を持つ。

 

「寝ていただけだからな、役に立ってもらうぞ、あゆ」

 

そう言って、そのまま俺はあゆを魔族の頭に向かって投げ飛ばす。

そしてあゆの頭が魔族の頭に直撃して砕け散った。

 

「最後に一つ言い忘れていたな、自分のことを我とか言う奴ほど大概強かったためしが無いんだよ」

 

俺はそう言った後あゆのもとに行った。

あゆを見ると少したんこぶができているだけだった、さすがは石頭だな。

 

「うぐぅ……痛いよ」

 

あゆが起きたようだ。

 

「よう、あゆおはよう」

「祐一君ボクに何かした?それに魔族はどうしたの」

「別に何もしてないぞ、魔族は俺が倒したしな。あゆは寝ていたから知らないかもしれないけど」

「うん、ごめん覚えてない」

 

あゆは頭を擦りながら言う。

 

「まあ、べついいさ。それより村長さんに報告しに行くぞ」

「うん、これで村長さんに頼んだら今晩の寝る所は確保できそうだね」

「ああ、ついでにスノウアイランドの方角でも聞くかな」

 

あゆならどこでも寝れるんじゃないのかという言葉を抑えてそう言った。

 


あとがき

マサUです。いやー今回は魔族関連の説明が多かったです。

まあそのために改訂したようなものなんですが。

それでも削ってこの量なんです。本当はもうちょっと説明があったんですがうっとおしかったので。

この削ったことがあとで後悔しないことを祈ります。

それにしても今回の魔族は弱かったですな。

でも最低でもないんです下の中ぐらいですか。

ちなみにこの魔族元ネタがあります。

漫画なんですけど花嫁に扮して戦うってところから一緒です。

けど元ネタのほうは一瞬で頭部を破壊されたりしたんでこっちの方が活躍はしてます。

最後に改定前のプロローグの設定はそのまま改定後の話にも残っています。

改定前のプロローグも消してないので探せばあると思うので、もし暇なら探してみても。

それではその3で。

 

感想は掲示板メールへお願いします。

 

  

 

戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送