さくらが全ての根源である枯れない桜を枯らし、初音島を取り巻く一連の事件は幕を閉じた。
 俺は誰を選ぶでもなく、みんなと今までどおりの関係でいることにした。
 だが、それゆえの問題が起きてしまった。
 それは音夢、さくら、ことり、眞子の四人が俺を巡って争っていることだ。
 争っているだけならいい。俺に危害が加わらなければの話だが……






プロローグ〜始まりは蝉の声〜







 終業式を昨日終え、今日から夏休み。
 初日から眠気に抵抗することなく屈し、寝すぎてしまった。
 ミーンミーンなど蝉の鳴き声がうるさいくらいに聞こえる。
「ふぁ〜〜」
 大きく伸びをした後、カーテンを開ける。
 当たり前だが、日の光が部屋に入ってきた……眩しい。
 どうやらもうとっくに日は昇っていたらしい。
 時計を見ると、十二時を過ぎていた。こりゃもう一眠りって時間じゃない。
 さっさと着替えるとするか。

 着替えを済ませ、あくびをしつつ一階に降りリビングに入ると……なぜか来ているさくら、ことり、眞子たち。
 さくらはまだしも、ことりや眞子は一体何しに来たんだろうか。
「あっ、兄さん。やっと起きたんですね」
 音夢が声をかけてくる。それに続いて、ことりたちが挨拶をしてくる。
「みんなおはよう、じゃなくてこんにちは、だな」
「そうですよ、兄さん。もうっ。いくら夏休みになったからって、いきなり堕落しないでください」
 いつもなら音夢の広辞苑による攻撃で起こされることがしばしばだ。
 だけど、夏休みだとそれがないからこうして昼間で寝てられるんだよなぁ。なんてすばらしいことだろう。
「ああわかったわかった。ところで、なんでお前たちがいるんだ?」
「えっとですね、実は兄さんのことについて話し合いをしていたんです」
「俺のこと?」
 音夢の言葉の意味がよくわからず、首をかしげる。
 なんで真昼間から俺のことなんて話し合ってるんだ?
 っていうか、いつもなら俺も強引に話し合いに参加させられるんだが。
 内容はたいてい誰か一人を早く選べだけどな……
「はい。今のままじゃ朝倉君に迷惑を掛けるばっかりだから、現状を打破しようって」
 俺の疑問をことりが解消してくれる。なるほど、そういうことか。
 それは願ってもないことだ。これで俺も晴れて自由の身になるってことだよな。
 今まで出来なかった数々の計画が……できる!
「で、結論は出たのか?」
 ちょっとした期待を胸に皆の答えを待つ。
「出たことは出たんですけど……」
 なぜか言いよどむ音夢。そんなに言いにくいことなのか?
 気になって周りを見てみる。眞子はなぜか顔を赤くしていた。
 ことりは……申し訳なさそうな顔だな。さくらは何も考えてなさそうだし。
「あのね、お兄ちゃん。これからお兄ちゃんに、やってほしいことがあるんだよ」
 どうやら、音夢の変わりにさくらが代弁してくれるようだな。
 しかし音夢が言えないなんて、よほどのことなんだろうか。
「やってほしいこと?」
「うん。とっても簡単なことなんだけど……お兄ちゃんに、ボクたち四人と同棲して欲しいんだ」
「……はい?」
 自分でもわかるくらい間抜けな声を上げる。いや、これが普通か。
 同棲? 音夢やことり、眞子、さくらと?
「あっ、ごめんねお兄ちゃん。ちゃんと詳しく説明するね」
「あ、ああ。そうしてくれ」
 さすがに、いきなり同棲して欲しいとだけ言われてもな。
 一人の男しては、嬉しくないわけがないのだが。
「明後日から、一日交代でボクたち四人とここで同棲して欲しいんだ」
 さっきよりもほんの少しだけわかったが……理由が全然わからない。
 結局さくらが言ったのは同棲をして欲しい、だけだし。
「なぁさくら。何で俺がそんなかったるそうなことしないといけないんだ?」
 しょうがないから聞いてみるか。
 このままじゃあ何ともいえないしな。
「えっと、それはね……ボクたち四人と同棲生活を過ごした上で、お兄ちゃんに一人選んで欲しい。
もうみんな待つことはやめたんだ。お兄ちゃん。もうそろそろ、答えを出してもいいんじゃないかな」
「さくら……」
 後の言葉が続かなかった。たしかに俺はうやむやにしすぎていたかもしれない。
 でもだからといって……今の関係も壊したくない。
 俺が誰か一人を選んでしまったら、今のような付き合い方ができなくなってしまう気がする。
「ねぇ朝倉君。もし朝倉君が私たちの関係のことを気にしているんなら、それは無駄な心配だよ。
私たちにとっては、うやむやにされ続ける方がよっぽど辛いんだ」
「………」
 それじゃあ、俺のやってきたことは……間違いだった、のか。
 一体俺は今まで何をしてたんだ。俺は……
「そうよ朝倉。毎回あんたのことで言い争うのは疲れるんだからね! さっさと選びなさいよ!!」

 みんなの言葉を聞いた俺は、しばらく何も言えずに黙っていた。


「わかった、やるよ」
 長い沈黙を破った俺の一言。それは、了承の言葉。
 俺は今まで勘違いしていたらしい。
 答えを出さないことが、みんなのためだと思っていた。
 でもそれは、俺の独りよがりだったらしい。
「俺なんかのために、これ以上迷惑は掛けたくないからな」
「まっ、そういうことにしておいてあげるわ。べ、別に嬉しくなんてないんだからね!」
 顔を赤くしながらそういう眞子。なんていうか、こういうところが可愛いんだよな、眞子は。

「それで、具体的なことはもう話し合っているんだろう?」
「はい、その辺についてはしっかりと話し合いました」
「じゃあ、聞かせてくれ」
 そういうと音夢がこれからについての説明をしてくれた。

「なるほど。ようは俺はただそれぞれが用意したプランに付き合えばいいんだな。
あと金は出さなくても良くて、いつも通りの俺でいろってことか」
 単純明快で助かる。何より金を出さなくていいのが助かった。
 それにもっといろいろな制約があると思って覚悟してたのだが。
「あっそういえば。順番とかは決まっているのか?」
「もちろん決まってますよ、朝倉君」
 よかった。俺に選べとか言われたら困るしな。
 ちゃんと俺の性格も考えてたんだろう。しっかりしてる。
「で、誰が一番最初で、その後誰になるんだ?」
 一体誰からなのか。俺は少し緊張する。
 最初だから、昔から一緒にいる音夢とさくらではない気がするんだが。
「それはですね…………」

 続く



 ちょっとかなり無理な展開な気がしますが、キニシナイキニシナイ。
 そういうの気にしたら、ダメです。たぶん、おそらく、きっと。
 まぁとりあえず、一人ひとり違う一日を書くことになるわけですが。
 まずは誰からにしよう(ぇ)
 一応決まってますが、それは次回のお楽しみみたいな感じで。
 四人の魅力というのかな。それを出して、あとは見せ場を入れて面白くしていきたいなと思っています。

 投稿は、月一くらいになると思います。
 そんな感じで行くと思いますが、楽しみにしてくれる人がいてくれたら嬉しかったり。
 それでは。



      HHさんから連載作品を頂きました〜

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      一人に決めるのは決めるのは辛いかもしれませんが羨ましい……

      そして一番最初はだれからになるのかな?

      気になります。

 

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