「それはですね……びっくりするかもしれませんよ」
 もったいぶらないで、早く教えてほしい。
 っていうか、なんでびっくりするんだ?
「たしかにお兄ちゃんびっくりすると思うよ」
 さくらまで言うか。
 ということは、そんなに最初からすごいのか? 何がすごいのかよくわからないが。
 少なくても、俺の知らない何かがあるらしい。
「じゃあ朝倉君。こころの準備はいい?」
「あ、ああ。どーんとこいってんだ」
 心臓がどくんどくんと早まる。
「それじゃあ発表します。朝倉君が最初に同棲するのは〜〜」
 バラエティー番組であるような口調で言うことり。
 なんか、『ばばん!』とかいう効果音が聞こえてきそうだな。
「この方ですっ!」
 ことりの指差す先にいたのは……






第一話「決意〜大切な気持ち〜」







「……誰もいないぞ」
 ことりの指差した方向を見ても、期待に反して見事に誰もいない。
 まさかびっくりするっていうのは、これのことじゃないだろうな。
「甘いですよ、朝倉君。私は何も人を指すとは言っていませんよ」
 いたずらが成功した子どもみたいに笑いながら、ことりは言ってくる。
 ことりの言葉からすると、指を差した方向に何かがあるってことになる。
 う〜ん、何かあったっけ。全然わからない。
「結局、最初は誰なんだ?」
 いくら考えてもわからなそうな俺は、素直に聞くことにした。
「美春です」
 音夢が即答する。
 なんであいつが? 一体どうなっているんだ?
「それはですね。美春がぜひ参加させて欲しいと言ってたので」
「わんこのやつがそんなこと言ってたのか?」
 正直意外だ。いつもいつも遠くから見ていただけの美春が参加するなんて。
 もしかして美春も俺のことを……
「ちなみに理由は面白そうだからだそうなので、変な期待は持たないでくださいね、兄さん」
 やっぱそうだよなぁ。美春が俺のこと好きなんてありえないよな。
 まっ、美春相手なら特に何も心配することはないだろう。
「朝倉、くれぐれも美春ちゃんに手を出すんじゃないわよ」 
「ば、バカ言うなよ。俺がそんなことすると思うか?」
 そりゃあまあ、したくないわけじゃないけどさ。
 だからって、誰でもいいってわけじゃないし。
「さぁどうだか」
 俺ってそんなに信用がないんだろうか。
 はぁ……とりあえず、話を進めるとするか。
「最初が美春なのはわかった。その後はどうなっているんだ?」
「二番目は私、白河ことりが務めさせていただきます」
 ビシッと敬礼をすることり。
 ことりは特に心配することはないか。
 たぶんこの中で一番まともだからな。……たぶん。
「私は三番目です」
 三番目は音夢か。
 一体どんなプラン立ててるのか、気になるな。
 ……飯だけは作られないことを祈ろう。
「四番目はボクだよ。順番が遅いからって、がっかりしないでね」
 いや別に遅かろうと早かろうとがっかりしないから。
 いずれ回ってくるんだからな。
 って心の中でツッコミいれてもしかたないか。
「そしてラストはあたしよ。最後にあたしと過ごせるんだから、感謝しなさいよ」
 感謝ってなんだ感謝って。
 相変わらず強気なやつというかなんというか。
「わかった。ところで音夢。お前はどうするんだ? 家には居られないだろ?」
 俺と音夢の家で同棲生活をすると聞いてからずっと気になっていたことを聞く。
 いくらなんでも、部屋に一日中篭もりっぱなしっていうのはないだろうし。
 だからといって、一日中外出するわけにも行かないだろう。
「それなら何の問題ありません。さくらと眞子の家に泊めてもらうことにしているので」
「そうか。それなら別にいいんだけど」
 これで気になることは今のところないか。
「他に何か聞きたいこととかあるかな?」
「いや、もう特にないかな」
「わかりました。それじゃあ今日のところはもう帰りますね」
「ボクも帰ろうかな」
「私も早速さくらの家にいかせてもらいますね」
「あたしも帰るわ。じゃあね、朝倉」
 一人、また一人と帰っていった。
 こうして俺は、家の中に一人取り残された。
 さきほどとは違い、もう俺一人しかいない。
 外では、蝉がまだうるさく鳴いている。
「さて、と。テレビでも見ながら飯でも食うか」


 夕飯を出前で済ませ、風呂にも入った。
 今はベットに寝転がっている。後は寝るだけだ。
 明日からはいよいよ、か。
 一体どんな五日間になるのだろう。まったく想像できない。
 でもこれで、やっと今までの日々にピリオドが打てる。
 どうなるかは俺次第だけどな。
 誰が好きなのか、今のところ自分でも良くわからない
 だけど答えを出さなくてはならない。
 みんなのために、そして俺自身のためにも。
 しかし、本当に俺なんかでいいんだろうか。
 俺は特に優しいわけでもない。かっこいいわけでもない。
 それに今まで中途半端な態度を取っていたというのに……
 上半身だけ起こし、カーテンを開ける。
 空を見るとたくさんの星がきらきらと輝き、存在をアピールしていた。
 もう、迷っても無駄、か。そうだよな。今日のこともう忘れるなんて、バカだ。
 その光景をしばらく眺めた後、カーテンを閉めまた寝転がる。


 明日のことを考えると、不安と期待の両方を感じてしまう。
 まずは美春から、か。でも美春は特別な感情を俺に抱いてないだろうから、気楽でいいな。
 料理もちゃんとできるし、むしろ期待が持てる。
 ただ……朝昼晩の三食ともバナナメインの料理という可能性がある。
 いくら美春でも、それはないだろう。そうだと信じたい。
 まっ、そんなこと心配しても無駄か。
 さて、明日は何時に起こされるかわからないだろうし、そろそろ寝るかな。
 時計を見ると、十一時を指していた。
「……おやすみ」
 誰に言うでもなく、俺はつぶやいた。
 頭から布団をかぶり、しばらくして俺は眠りについた。


 続く



 あとがき

 意外性をつこうと思ってこういう展開にしました。
 読者の皆さんの目にどう映ったかはわかりませんが(笑)
 こういうことやると、美春が選ばれるんじゃないかと思われる方がいると思います。
 たしかに、最初は美春出さずに最後に美春を選ばせる予定でした(苦笑)
 でもそれだと、意外性があっても今までのは何だったんだ、と自分で思ってしまいそうだったのでやめ。
 まぁだからといって美春が選ばれないとは断言しません(笑)
 誰が選ばれるかは当然ながら秘密の方向で。
 次回からが本当に始まり、かな。
 それではまた次回。



      HHさんから第1話を頂きました〜

      誰からスタートかな〜と、思っていたら思わぬ伏兵がw

      私が好きなさくらは後半のようで。

      さてこれからそれぞれどのような出来事が待ち構えているのか!!

      ひっっじょうに気になりますww

 

      感想などは作者さんの元気の源です是非メールを!

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