雪華都の東南東に位置するこの森は遥か昔、何百・何千年も前から存在していた。

永き時によって出来た広大な自然、そこに住まう数多の魔物。

修行の場、狩猟の場、癒しの場、憩いの場。森にあるあらゆる面を持つこの森。


この森にはある大きな力が存在する。

その力がこの森に二つの特色を齎した。


その内の一つが、この森を何時しか『囁きの森』と呼ばせるようにした。


その特色は、

高位の魔術師には有益で、

中位の魔術師には有害で、

下位の魔術師には気付くことすら出来ない。


魔術師に対するそれは、魔術師にとって最も近き存在。





そして、この少女はどこに位置する魔術師であろうか――――




















「うぐ?」


少女――月宮あゆは彼女特有のつぶやきと共に後ろを振り返った。
しかし、振り返ってみても見えるのは今まで自分達が歩いてきた細い道にそれを囲うような高い木々だけ。
その木々によって光が遮られ、昼間だと云うのに辺りは薄暗い。風で枝葉がざわめくたびに彼女はびくり、と震え上がってしまう。

一人でこんなとこにいたら絶対泣いちゃうなぁ、と思いながら彼女は足を急がせ立ち止まった分だけ先に進んでしまった仲間と合流する。


「どうしたの? あゆちゃん」


そう声をかけてきたのは最後尾にいたセミロングの少女――舘原樹梨。


「なんだか声をかけられたような気がしたんだけど気のせいだったみたい。ごめんね。ジュリちゃん」

「声?」

「うん。そんな気がしたんだけどね。やっぱり気のせいだよ」

「う〜ん、もしかしてさ…………」


内緒話をするように顔を近づけ声を潜めながら話す樹梨にあゆも声を潜めて「なに?」と耳を傾ける。


「呼んだの『これ』かもよ〜……?」


そう言いながら胸の前で手首から先をだらんと下げ、分かりやすい『幽霊』のポーズをとる。
その格好にビクッとするあゆ。確かにこの場の雰囲気は出てもおかしくないと思う。そう感じていたあゆは急にオロオロし始めた。
そんな彼女の姿を見て満足したのかジョーダンジョーダンと軽い調子で繰り返す樹梨。

そんな2人の数歩先を歩きながら、そのやり取りをちらちらと振り返りながら見ている男――斉藤宏昌は呆れた声を出した。


「2人とも、仮にも実戦訓練中なんだからもうちょっと気を引き締めてくれよ」

「あ、ごめんね。斉藤くん」

「あははっ、ダイジョブだって。後はもう帰るだけなんだしさ〜。斉藤君は心配性すぎるんだよ」


素直に謝るあゆに対して、樹梨はあっけらかんとしている。


「用心するに越したことはないだろ。お前もそう思うだろ? 崎森」


斉藤は更に数歩前――最前列を歩く男――崎森功魏に答えを仰ぐ。


「……クセはつけた方が良いだろうな。特にDランクのお前達は」


そっけなく答える崎森にうっ、と顔をしかめる樹梨とあゆ。

この2人、ランクだけでなく戦闘スタイルも同じ――つまりどちらも魔術師――である。

ちなみに斉藤は剣を主とし、補助に魔術を使う魔法戦士のCランク。

崎森はナイフ使い。Bランクでこのメンバー――崎森・斉藤・樹梨・あゆ――のリーダーを務めている。


「崎森君って無口のクセに言うコトきついんだよねー……」


そんなんじゃ女の子にモテないぞー、という樹梨の呟きを崎森は黙殺して先へ進む。


「ま、まぁこれからだろ? 舘原も月宮もさ。特に月宮なんかは魔力はハンパじゃないみたいだしよ」

「あ、『闘技場土埋め事件』? あれは凄かったよね〜。放課後だからよかったけど授業中だったらクラス皆で生き埋めだもんね。笑えるよ」

「……何であんな事になったのかなぁ…………? いつもの同じように魔術遣ったつもりなのに……、ボクってやっぱり才能ないのかなぁ…………」


励ますつもり発言で一気にどん底まで落ちこんでいくあゆを見て今度は斉藤がオロオロとし始めた。


「い、いやっその、これから練習すれば良いんだよっ。最初から成功する奴なんていないんだし練習すれば……」

「でも、練習してまたあんな失敗したら…………」

「大丈夫だってっ。あんなのたまたまだって。なぁっ? 崎森っ」


再度フォローをしようと思いながらも、大した言葉が浮かばない斉藤は崎森に助力してもらおうと話をふる。


「……あの失敗はまだ運が良かった。あれほどの魔力が暴走すればもっと大惨事になってもおかしくはない。良かったな、月宮」

「…………うぐぅ」


トドメだった。


「崎森君に聞くコト事態が間違ってるのよ……」

「う、うるさい!」


斉藤と樹梨が言いあっているのを最後尾で聞きながら、あゆはひたすら落ち込んでいた。

あの失敗以来、あゆには魔術に対して恐怖が染み付いていた。樹梨や崎森の言う通り場所や時間、魔術の種類が違っていたら大惨事になっていたのだ。もし、またあんな失敗をしたら……、そう思うと練習にも身が入らない。
……元々覚えは悪いが。

そもそも彼女は自分があれほどの魔力を秘めていた事をあの時初めて知ったのだ。それまでは魔力が低く、魔術も下手な落ちこぼれ。そう認識していたのだから。

はぁ、と溜息をこぼすあゆの耳が長年待ち望んだ少年の声を捉えた。

祐一くん? と声に出しながら振り返るがそこには誰もいず、ただ薄暗く細い道だけが視界に映る。


「…………?」


また気のせいかな? そう思いながらも先程とは違ってキョロキョロと辺りを見渡して彼を捜す。
彼の名を呼んでみても返事はなくやっぱり気のせいだ、と思い前を向く。

仲間において行かれないようにと、前を向く。


















































誰もいなかった。


















































舘原樹梨も斉藤宏昌も崎森功魏もいなかった。

影も形も、声すらなかった。




















「え………………?」




















みんな…………は?

なんで? みんな、どこ、いったの…………?


一気に頭が混乱した。


ボク、そんな長い時間祐一くん捜していたのかな? そんなはずはないよね、時間も1分なかったし……。それにみんながボクを忘れて先に行っちゃうわけがない。声をかけてくれるはずなのにそれもなかった……。という事はいったい……どういう事?


あゆの頭の中はぐちゃぐちゃになっていた。こんな場所に一人になったという思いがそれを強くするのだろう。

恐怖に駆られあゆは走った。もしかすると道の先にいてここからじゃ見えないだけかもしれない。と不安だらけの希望を持って。



走って。



走って。



走って。



それでも誰の姿も見えないことに恐怖は増してゆく。

気付けば道は広くなり、木々に遮られた光も降り注いでいた。だが逆にあゆの心は重く泣きそうになっている。


なんで誰もいないの? 仲間の3人だけではなくクラスメートも誰一人見ない。もしかしてボク、酷く的外れな方向に走ってきたんじゃないの?

どうしてあの時振り返ったの? 祐一くんがこんなとこにいるはずがないのに。昨日7年ぶりに会えたことで舞い上がっていたのかな……。

どうして? どうして……?


「祐一くん……、助けてよぅ……」


言葉に出した途端身体がずん、と重くなる。

その重さに駆けていた脚もゆっくりとした歩みになり、そして止まってしまう。
この場で座りこんで泣き叫びたいとすら思った。
だが、それがどういう結果を招くかをぎりぎりの理性であゆは理解し、我慢する。

こんな森で泣き叫んだらどうなるかなんて、考えるまでもなく解りきっている。

誰か、人に見つかれば運がいい。

だけど、それ以上に少女を見つけてくれるのは、獲物を捜す魔物達だ。

無力だという気持ちが拍車を駆ける様に大きくなる。
その思いが彼女の身体の力を完全に奪った。
泣き叫びはしなかったもののあゆは木にもたれかかり座りこんでしまう。

遭難した時は動かずに体力を温存する、なんて言葉を思い出した訳ではない。
ただ、気力を保っていられずに崩れ落ちただけにすぎない。

そして頭の片隅で考える。


祐一くん……、早く来てよ…………。


それは祈りに近い想いだった。

来るはずがない。祐一はあゆがここにいることも知らないのだから。

だけど彼ならもしかして――――そう思ってしまう。

がさり、と葉を踏み歩く音を聞き、彼女は顔を上げる。


まさか、本当に――――?


「ゆうい――………………」


彼女の顔は絶望に彩られた。

こんなところで少女を見つけてくれるのは人ではない。





――――魔物だ。




















「う……うわぁぁぁぁ!」


目前に迫る銀色の刃を必死で避けながら思わず悲鳴が上がる。

少女――月宮あゆの目の前にいる魔物は全身が鱗に包まれ、無骨な鎧に右手にはボロボロながらも大振りな剣が握られていた。しかし左腕は血で真赤に染まっており、刃物でつけられたであろうその傷の深さを思い知る事が出来る。

魔物――リザードマンはその怪我のせいか普段より更に獰猛な眼で獲物を睨みつけ、唸り声まで上げている。

このリザードマンの怪我だが、あゆがつけたものではない。あゆにはそんな技量どころか武器すら持っていないのだから。


だったらこの怪我は――――?


その答えは酷く簡単なものだ。
少女と魔物が対峙した時、すでにあったのだ、この傷は。


そこにあゆは光明を見た。


怪我をしているという事は、この魔物は少女と出会う前に闘っていたのだ。

誰かは分からないが確実に。

このリザードマンと。


闘った人間がいる。


もしかしたら魔物同士の争いだったのかもしれない、そうも考えた。

けれど、人だったかもしれない。

人間だったかもしれない。


可能性は零じゃない。


だからあゆは立ち上がった。

精一杯の勇気を振り絞って。

一縷の望みを持って。










しかし、立ち上がったからといって事態が好転した訳ではない。

相手は一匹。しかも怪我で動きは鈍い。しかし、それでもあゆにとっては逃げ回ることですら限界ギリギリで攻撃を仕掛ける余裕などなかった。

仮に戦いを避けこの場から逃げ出したとしても事態は同じであったろう。
リザードマンは既にあゆを獲物と認識しているのだ。逃げ出してもどこまでも追いかけてくるだろう。

逃げれば追う。逃げなくても襲う。

結局は同じ事。

だったら、それは体力の無駄遣い。

勿論あゆはそんな考えを持っているわけではなく、魔物に背を向けるのが怖い。そして、この魔物と戦った人間と出会う可能性がなくなるのが怖い。という気持ちがあっただけにすぎない。





何度目かもわからないリザードマンの攻撃を避けた時、びちゃり、とリザードマンの左腕の血があゆの顔に飛び掛かる。
避けれずに掛かってしまったその血。眼に入らなかったのは幸いだがそのリアルな臭いが今が実戦だという事を強く認識させ、身体に重く圧し掛かる。

あゆの気が一瞬反れたのを感じたのか、大きく剣を振りかぶるリザードマン。
しかし、それで傷の痛みが走ったのか動きが鈍くなるリザードマンの隙を見て、なんとか距離をとるあゆ。


逃げてるだけじゃダメだ……、攻撃しなきゃ。リザードマンは確か水系の術が苦手だったよね……。


必死で思考を回転させるあゆ。しかし――――


ボクの遣える水の魔術は――――…………。





――――そこで思考が凍る。





頭に浮かぶは土の塊。

覆い尽くされる闘技場。

驚く仲間達。















『暴走』















その言葉が頭の中を支配する。


魔術を…………遣う……?

ボクが……魔術を…………?

一歩間違えれば大惨事に――――……。

誰かが死ぬかも知れない…………。










凍ったままの思考が破られたのは身体に走る衝撃によってだった。

リザードマンに体当たりをされ、体重の軽いあゆは木の葉のように簡単に吹き飛ぶ。
地面に叩きつけられる衝撃で一瞬呼吸が止まるがそれでもあゆはすぐに立ち上がる。
警戒したリザードマンの追撃はなかった。
すぐに魔術で反撃しようと思うが、身体が拒否しているかのようにそこだけ自由がきかない。


「ここには……ボクとリザードマンしかいないんだ。暴走したって…………」


違うっ! そうじゃない!


「暴走なんかしないっ。暴走なんかしないっ!」


怒鳴って不安をなくそうとする。

けれど、それでも残るあの時の残像。


もし暴走なんてしたら――――。


「大丈夫っ」


暴走したら――――。


「大丈夫!」


暴走――――。


「大丈夫だったらっ!!」


悲鳴に近い否定。

目にはうっすら涙が滲んでいる。
流れ落ちないのは、半人前とはいえ自分もハンターなんだ、という意地の現れか。


「たっ、大気に佇みし水の精霊よっ。その姿を纏め弾丸と撃ちつけん! 《水弾》!」


怒鳴り声とも悲鳴ともとれる詠唱をし、キィンと甲高い音を響かせ出来上がる数本の水の塊がリザードマンへ向かって飛びたつ。


――――成功した!


喜びを覚えるがそれをリザードマンは顔を歪ませながらも難なく避けてゆく。


「グ……グワァァ!」


反撃された事に怒りを覚えたのかリザードマンが右腕に持ったボロボロの剣を振りかざし、特攻をしてくる。
必死で走り回り、何とか攻撃から逃げたあゆは再度《水弾》による攻撃。けれど、その小さな水は易々と避けられてしまう。
魔術の成功を喜びはしたが先程の魔術も今回の魔術も授業で習った時より小さく数も少ない事に少なからずショックを受ける。


「……どうして、どうしてこんな時にダメなんだよっ、ボクは! 集中して!」


彼女の発言通り、あゆは今かなり動揺しており、魔術の集中が薄くなっている。
仲間とはぐれ、一人きりになった時に現れた魔物、そして暴走に対する恐怖。動揺してもおかしくはない。

が、だからといってどうにかしてくれる人間はなく、自分でどうにかするしかないのだ。


集中……集中……。


威力を高めるために集中し、魔力を篭めようとする。

しかし、それによって彼女の脚の力は弱まり、速度が遅くなってしまっていることに気付いていない。
気付いた時にはリザードマンはすぐ後ろに迫っており、剣を振り下ろす瞬間だった。

一瞬思考が止まり、次の瞬間彼女は自分でも驚く速度で横に跳びはねた。
それでも完全に避けれず、左腕にうっすら血が滲んできた。
もしリザードマンの怪我がなかったら左肩から先はなかったかもしれない。

そう思うとあゆはぞっとした。

ぎろり、と恨みがましい目で睨まれ、一瞬硬直しかけるがなんとか彼女はリザードマンが襲ってくる前に立ち上がりその場から走り去る事が出来た。

魔術の威力を高めようと必死で集中しようとするが、そうするとリザードマンへの意識が薄れてしまう。
魔術を出す前にやられてしまっては元も子もなく、結局魔力の篭もっていない魔術で対応しながら逃げ回っているだけになっている。


「どうしてこのくらいの事も出来ないんだよ……!?」


魔術と移動。その程度の両立すら出来ない不器用さにあゆは自分自身を呪った。

また、彼女の瞳に涙が滲み出てきた。
それをゴシゴシと拭き取り顔を上げたその瞬間、足に何かが引っかかり転倒してしまう。
彼女の足元には大樹の根元が出っ張っており、それに引っかかってしまったようだ。


「うぐぅぅぅぅぅ!!」


モロに身体を打ち付け、痛みが電撃のように走った。

『動けない』という思いと『逃げないと』という思いが頭の中で何度も繰り返されるが、身体は『動けない』という思いに従ったようで力が入らない。或いは、『動きたくない』という気持ちがあったのかもしれない。

しゃり、という音がすぐ後ろから聞こえ頭だけで振り返り、あゆは叫びそうになった。

ニタリ、と勝利を確信したその笑みを浮かべ剣を振り上げたリザードマンの姿。
その右腕が振り下ろされる時にはあゆはもう目を固く瞑り死を覚悟しながら、来る事のない助けを求めた。















――――祐一くん!






























瞬間。




















風が吹く。




















まるであゆの心の叫びに答えたかのように――――風が吹いたのだ。




















そのため身体に奔る筈の斬撃は来なかった。




















その風はバランスを崩す程度の強風ではない、人一人吹っ飛ばせるほどの嵐のような風だった。
倒れているあゆには影響はなかったがリザードマンはその風をモロに受け、吹き飛んでいった。
あゆは目を開け木に打ち付けられたリザードマンを呆然と見ていたが、やがて気付いたように風の巻き起こった先を見る。彼が助けてくれたんだ、と少年の名を叫びながら。


「祐一くん!」


けれど。


見詰めた先には誰もいない。

居るはずのない相沢祐一も。

居てもおかしくない見知らぬ誰かも。


誰も――いない。

誰かいた気配も――ない。

あるのは微かに残る風のみ。


「ただの……風?」


あれが……ただの風? そんな…………。あのタイミングで、あれほどの強風が?


疑問を残しながらも後ろから聞こえる唸り声に気付きすぐさま立ち上がる。

身体の痛みが残ってはいるがもう動けないほどではない。


「うぐぅ……でも、どうすればいいんだろ……」


あゆのつぶやきに答えるように風がざわめく。

今度の風は強風ではなく、枝葉を鳴らす程度の小さな風。





その風に何故かあゆは反応した。



「え…………?」


また風がざわめく。


「声……? 誰か……いる……の…………?」


人の気配は感じない。声が聞こえる筈はない。










けど、今確かに――――。










答えるように風がざわめく。

優しく、緩やかに、そして、力強く。










――――聞こえる――――感じる――――風の声――――…………。










包むような優しい風。



受け止めてくれるような穏やかな風。





見守るような暖かい風。





そして。










そして――――















――――そして――――




















滅ばすような力強い風。




















それらについての疑問は感じなかった。

否、疑問を感じる思考がなくなっていた。

思考が止まった代わりに力が溢れてくる。





あゆは一度眼を閉じ――――ゆっくりと開く。





そこには今までにない強い光がその瞳に宿っていた。


「――――大気に佇みし水の精霊よ。その姿を纏め――」


まるで歌っているかのように落ち着いた詠唱。

その彼女にリザードマンが怒りの篭もった特攻をかける。獲物を逃した悔しさと少女の魔術は威力がないという思考から、多少傷をおってでも次で仕留める。そのつもりでの特攻だった。

その特攻にあゆは逃げるでもなく、受け入れるかのように佇み呪文を続ける。





その姿に脅えは――――ない。





「――弾丸と撃ちつけん」


《水弾》


そう彼女が口にした瞬間、彼女を覆いつくさんばかり大量の水が生まれ、その水は一つに纏まりリザードマンへと突き刺さる。

通常ではありえないほどの威力。自分では勿論、他の誰も――教師ですら――出した事のない威力を見せる。


その事に。

少し驚く。


少しずつ驚く。



少しづつ驚愕する。




少しづつ。





少しづつ。





思考が戻ってくる。










思考が――――戻ってきている。










その証拠にしばらく立ち尽していたあゆだが倒れて動かないリザードマンを見て気が抜け座りこむ。

彼女に『勝った』という実感はない。

あるのは『助かった』という気持ちだけ。

そう。助かったのだ。

なんとか、生き延びた。

そのことが凄く嬉しい。


あゆは空を見上げ、陽の光を浴びながら感謝の言葉と共に微笑んだ。










「ありがとう。風さん」




















魔術・技解説

『水弾』……………水系の下位魔術。無数の水の塊を生み出し、攻撃する。動きは一直線にしか進まない。





〜あとがき〜

KANONキャラ登場っ。だけど何故か斉藤!(笑

どうも。海月です。

オリキャラを二人も出しちゃいましたよ。
斉藤だってオリキャラみたいなもんですけど。

あゆのチームメイトとして出てきた訳ですけど、今後出るかは不明(笑
あと数回は出す予定ではありますけど、その後は……気が向いたら出す…………かもしれません(ォィ


そして予想されてた通りあゆの戦闘なお話でした。
けど、香里が言ってた『訓練の実戦』ではなく、祐一が嫌がってた『命を賭けた実戦』ですけど。

月宮あゆ・Dランク。今回ギリギリで生き残り。彼女はよわよわなんですけどねぇw

もっと追い詰めるべきだったかなぁ(笑

 


海月さんから九話頂きました。

あゆ大ピンチの回でしたね。

手に汗握る感覚がよくわかってとてもいい感じでした。

最後の風がこの先の話に何か関係してくるのかな?

それに消えた斉藤達、どうなったのか!

気になります。

 

 

感想などは作者さんの元気の源です掲示板へ!

 

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