バトルフィールドオブチルドレン

第11話 雪王大会予選その3


C、D合同ブロックが終わって少ししたら俺たちのいる食堂に舞と佐祐理さんが帰ってきた。

 

「やりましたよ〜祐一さん」

「……ぶい」

「よかったな」

「流石は舞先輩に佐祐理先輩ですね、試合開始10分で決勝進出なんて」

「いえ〜舞がいてくれたからですよ、佐祐理一人ならもっと時間かかっていました」

「佐祐理がサポートしてくれたから」

 

そしていろいろ話をしていると、放送が流れてくる。

 

『10分後にEブロックの予選を開始します。出場選手の方は闘技場までおこしください』

 

「さてオレの出番だ」

 

その放送を聞いて北川が大声で言った。

 

「そう、適当に頑張って」

 

その香里からの言葉を聞いて北川ががくっと倒れそうになる。

 

「み、美坂〜、もっと応援してくれたっていいだろ〜」

「何で?賭けをしている相手を応援することは無いでしょ」

「そりゃそうだけどさ〜」

「北川さんが出るのでしたら応援に行かないといけませんね」

 

香里と北川が話しているとき、佐祐理さんが話し掛けてきた。

 

「そうだな」

 

そして俺は名雪たちの方を向いて言った。

 

「腹の調子はどうだ」

「大丈夫、歩けるようにはなったよ」

「ボクも」

「私も一応いけます」

 

見た目でも、もう苦しそうな感じではなくなっているな。

 

「なら行くとするか。おい香里に北川、話してないでいくぞ」

「そうね」

「あ、しまったもう直ぐ予選が始まる時間だ。急がないと失格になっちまう」

 

そして北川は闘技場に俺たちは観客席に向かった。

 

 

 

 

俺たちが観客席に着いたらちょうどEブロック開始されてファイアーボールが上空に上っていくところだった。

北川は間に合ったかな……おっ、いたいた間に合ったようだな。

けど闘技場の端の方で息が切れている、今狙われたらやばいな。

そう思っていると予想通り北川に向かって四人の男が襲いかかろうとしていた。

今のランク的には目をかけられる筈はないのに、流石に去年のベスト8だな。

 

そして四人の男が北川の正面から剣で切りかかろうとする。

すると北川は手に持っている、刃が両端についている双槍の片方の刃を闘技場のタイルの隙間に刺して棒高跳びの要領で飛び越える。

そして着地をすると同時に振り返って棒の部分で四人の足を払って起き上がるまでに鳩尾に攻撃を加えて気絶させた。

 

……………って、なにーー今の本当に北川か、今までの動きとぜんぜん違うぞ。

どう見たってCランクの動きじゃないし、それに武器も昨日までは剣だったはずなのに。

俺としたことが一瞬固まってしまったぞ。

 

そして俺があたりを見回すと。

 

「あ、あれ?みんなどうしたのそんなに驚いて」

 

今までの北川の実力を知らないあゆは俺たちの反応を不思議に思っていた。

けどそれを知っている他の人たちは俺と同じく一瞬、時が止まっていた。

 

「そんな北川君が……え、あれは誰かの変装?替え玉?」

 

特に香里は重症っぽい、まだ固まったままだ。

 

「か、香里〜驚くのは分かるけどしっかりしてよ〜」

「お姉ちゃん気を確かに」

 

復活した栞と名雪が頑張って、香里を現実に戻そうとしている。

けど時間がかかりそうだ。

 

「……あの動き、一朝一夕で出来るものじゃない」

「はえー、じゃあ北川さんは学校以外のどこかで特訓でもしてたんですかねー」

 

その横で舞と佐祐理さんがいろいろ分析をはじめている。

確かにあの動きは一日やそこらでは出来ないものだからな、けどどこで特訓なんかしてたんだろう。

そんなことを思いながら北川に視線を戻した。

 

 

 

<北川視点>

 

ふう、いきなり四人も向かってくるなんて思いもよらなかったぜ。

一応運だけでも去年のベスト8という肩書きはすごいものがあるな。

 

運だけ……か、オレはおそらく見ていてくれているだろう友人たちの方を見る。

直ぐに元に戻ったけど一瞬固まっていたな。

全員のあんな顔なんか、なかなか見れるもんじゃないな。

それを見れただけでも隠れて特訓した甲斐があったってもんだ。

 

そして今のオレの戦いを見たのか、Aランク以上の奴らを狙ってた連中の一部がオレに狙いを変えてきた。

数でいうと十人ぐらいだな。

そしてオレの近くにいた二人が前後から向かってくる。

前の奴はナックル、後ろの奴は大型の斧だな。

そこで、まずオレは前から向かってくる奴のほうに狙いを合わせる。

 

「くらえっ」

 

前からの連打がやってくる。

結構なスピードだけど、見える。

オレはそれらを紙一重で避けて、懐に入り込むようにしながら槍で一突きする。

その前からやってきた奴はその攻撃で、槍が突き刺さらず後ろに吹っ飛んで倒れた。

突き刺さらなかったのは先端に魔法で空気を圧縮させて膜を作ったからだ。

流石に大怪我は結界ですぐに治るけど、そのときに感じる痛みは本物だからな。

 

そしてオレはすぐに後ろを振り返って後ろを見る。

すると、後ろから向かってきた奴がもう斧を振り下ろす直前だった。

オレはそれを横に跳んで何とかかわす。

そしたらよっぽど力を入れて振り下ろしたのか、斧が闘技場に刺さって抜けなくなった。

オレはチャンスだと思って、斧を抜こうとしている奴のわき腹あたりを思いっきり蹴り飛ばす。

すると闘技場の端で戦っていたのでそいつは場外に飛んでいった。

 

 

そして一息ついていろいろと去年からのことが思い出された。

去年の決勝トーナメントで大敗して、そのあと普通のランク認定でだんだんとランクを落とされていって運だけの人だといわれ続けた。

それで悔しくていろいろ特訓したのに一向に腕が上がらない。

そこで、もしかしたら武器が自分に合っていないのではないかと思ったのが4ヶ月前。

オレは武器屋に行っていろいろと試してみた、すると槍がしっくりきた。

そしてオレの秘密の場所でいろいろ使ってみる、やはり剣のときより使いやすい感じがした。

それでみんなを驚かすため、見返すため、そして自分に自信を取り戻すためにこの大会を目指して頑張ってきた。

 

そしてさっきのナックルの奴と今の斧の奴のことを思い出す。

思った以上に体が動く、それに攻撃も見える。

実戦は初めてだけど結構いけるかもしれない、いやいける。

そしてオレは槍をぎゅっと握り締めて、こっちに向かってくる残り八人ぐらいの中に突撃していった。

 

 

 

 

 

そして十分余りが過ぎた頃、オレはまだ闘技場の上で生き残っていた。

かなり疲れはしたけどそんなに怪我も負わずにあの八人を倒せたのは良かった。

 

「よし、これであと残るは二人だな」

 

オレは残っている二人を見る、二人ともオレの見知った顔だった。

一人は同じクラスの斉藤、もう一人はクラスは違うけど同級生でこのアカデミーの生徒会長をしている久瀬だった。

二人とも相沢と同じくオレの親友で、斉藤はAランクで久瀬はAAランクの強者だ。

さっきもずっと下位ランクの奴らから狙われ続けていたのが見えていた。

そしてオレたちは闘技場の真ん中近くで対峙した。

 

「またか北川が生き残ってるなんてな」

 

斉藤が疲れてはいるみたいだけど、まだ余裕のある顔で言った。

 

「まあな」

 

オレは斉藤とは対照的に疲れで息を整えながら言う。

 

「まあ、これぐらいはしてもらわないと」

「ん?久瀬はあんまり驚いてないな、知っていたのか」

「それはまあ、ここ2ヶ月間ぐらいこの人の特訓の手伝いをしていたからね」

「なに、北川!久瀬は知っていて俺には話してくれなかったんだ」

「いや…オレは誰にも話すつもりはなかったんだけど、たまたま見られたんだよ久瀬に」

「そう、僕が知り合いの人と歩いていたらなんか声が聞こえてきてね。見に行ってみるとこの人が一人で特訓しているのが見えたんだよ」

「だったらついでに手伝ってもらおうと思ってな、一人で出来ることには限りがあるから」

「そうか……なら!その成果を見せてもらおうか」

 

そう言っていきなり斉藤が攻撃してきた。

 

斉藤の武器は小型の斧で両手に一本ずつ持っている。

オレはそれを槍の持つ部分の中央で受け止める、けどそれは右手の斧だ。

すぐに左手の斧でオレのわき腹を攻撃しようとする。

すると斉藤に向かって久瀬が鎌で攻撃しようとしてきた、斉藤はそれを左手の斧ではじく。

オレは今ので気がそれた瞬間に後ろへ逃げた。

 

「久瀬!」

 

斉藤が怒って叫ぶ。

 

「斉藤君、これはバトルロイヤルですよ。隙があったら攻撃されるに決まってるじゃないですか」

「そうだな、久瀬」

 

久瀬が斉藤に向かって話している横にオレが攻撃を仕掛ける。

 

「ちっ!」

「くそ、避けられた」

「ははは、言ってるお前が攻撃されちゃ世話ないな」

「……もう手加減しませんよ」

「もとよりこっちもそのつもりだ」

「オレもだ。ここ2ヶ月お前の攻撃方法を見てきたからな、そう簡単にはやられるつもりもないぞ」

「北川君それは僕も同じですよ、というかAAランクの力を見せてあげます」

「それでは…」「いっちょ…」「いくか!」

 

 

そうして本当の三つ巴の戦いが始まった。


あとがき

バトルフィールドオブチルドレン、もうしんどいので略してBoC(Battlefield of Childrenから)の第11話でした……

祐一「どうしたんだ?なんかしんどそうな顔をしているぞ」

いやね、この予選がなかなか終わらないので疲れてるんですよ。

初めは前にも少し書いたのですが、この予選3話で終わらせる予定だったんです。

それが出そうと思っていたのにすっかり登場させる場所を考えるのを忘れていた一弥君を急遽登場さして。

で、その自己紹介も含めて戦闘シーンを書いてしまったら他のも書かないといけないように思えてきてしまって。

それに全員の武器は何だろうと考えていったらなぜか伸びに伸びていって。

今回も北川の武器何にしようと考えていて、そして思いついて今度はそれについての設定を考えていってたら愛着が出てきてしまい。

そんな武器を使って運だけで勝ってしまうのはだめだなと思って特訓して強くなったことにして。

祐一「ああ、だからか向こうで北川がものすごく喜んでいたのか」

で、気がついたら斉藤や久瀬まで出てきて本当は別のブロックに出てくる予定だったのに。

しかも今回で北川の戦闘終わらなかった……

祐一「ま、まあ愚痴ばっか言ってても仕方ないだろ。もっと気楽に考えようや」

……そうだな、そうだよな。

よし、それじゃあ『北川は決勝トーナメントに残れるのか』次回第12話をお楽しみに。

祐一「立ち直り早いな……」

 

 

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