バトルフィールドオブチルドレン

第10話 雪王大会予選その2


『Cブロックは――――が原因で30分後を予定にはじめますご了承ください』

 

俺と香里はその放送を聞いてため息をつく。

 

「祐一さーん、お姉ちゃーん」

 

そしてさっきまで闘技場でこっちにVサインを出していた栞が帰ってきた。

 

「どうでした、私の活躍」

 

俺と香里の呆れ顔に気づいているのかいないのか満面の笑みで話しかけてくる。

 

「まあまあ……かな」 「ダメね」

「えぅ〜、何でですか!予選を勝ち残ったんですよ」

 

期待してたのと違う言葉をいわれて、栞は少し怒り気味になっている。

けど、微妙に冷や汗をかいているところから原因は分かっている様だな。

 

その原因というのは、闘技場のど真ん中に空いた半径10mもの穴だ。

この大会はよく強力な魔法が使われるところから耐久力がある闘技場になっている。

しかしなぜか爆発に関してだけ他の攻撃に比べてもろいそうだ。

香里から聞いたから確かだ。

だからといって別に爆発系の攻撃を使ってはいけないという事ではないんだけれど。

それでも、あそこまで有利に戦いが進んでいたんだから別の方法もあったんではないかとも思う。

 

 

 

「それにしても、中途半端な時間が空きましたけどどうしましょうか」

 

栞との話もひと段落したところで佐祐理さんが言った。

そうだな、ほんとに中途半端な時間だな。

どうしようか……

 

「そうね、ぼーっとしてるには長い時間だし」

「でも特にしたいことなんてないし」

「う〜ん」

 

佐祐理さんの言葉を受けてみんなが悩み始める。

 

「私、お腹すきました……」

 

そんな中、栞が少し恥ずかしそうにこう言った。

 

「そりゃ栞は、今さっきまで戦闘してたからから当り前でしょうけど……」

 

香里が自分はそうではないという思いで言った。

確かにまだ10時半で昼御飯を食べるにはかなり早すぎる。

 

「……私も今日の朝、目覚ましかけ忘れて朝ごはん食べれなくてお腹すいてる」

「舞はそうなんですか、佐祐理はそこまですいてませんね」

「ボク、たいやきなら食べたい」

「じゃあ、わたしはイチゴサンデー」

「アイスです」

「……牛丼」

 

そしてみんなが口々に言う。

けど最後のほうになるにつれて、行くことが決定しているような話しになってるな。

まあ、そんなこと思ってる俺も夜更かしのせいで、朝起きるのが遅くなってしまってパン一切れしか食べてないから腹減ってんだよな。

 

「なんだか、だんだん行くことが決定していってるわね」

「そうですね、半分以上の方がお腹をすかせているのなら食堂のほうへ行きましょうか。佐祐理も少しのどが渇いてきましたし」

 

そんな感じで俺たちは特設闘技場に大会専用で造られている食堂に向かった。

 

 

 

 

 

「いっちご〜、いっちご〜」

「た〜いやき〜、た〜いやき〜」

「ええい、楽しみにしてるのは分かったから静かにしろ」

 

そんなことを言っているうちに食堂にたどり着く。

やはり時間が時間なので人はまばらだ。

俺たちは人数分座れるテーブルを見つけてそこに座る。

 

「あゆがタイヤキで名雪がイチゴサンデー、舞は牛丼で栞は腹減っているみたいだけどアイスでいいのか」

「いいですよ」

「あたしは紅茶ね」

「佐祐理はコーヒーです」

 

うーん、一応アカデミーの中にあるだけあって、この食堂セルフサービスなんだよな。

 

「俺と北川の二人では少しきついから誰かもうひとりぐらい一緒に来てくれないか」

「だったらあたしが行くわ」

「じゃあ香里、頼むわ」

「で、相沢君と北川君は何頼むの?」

 

香里が聞いてくる。

 

「俺も美坂と一緒でそんなに腹へってないしな、サンドイッチかな」

「相沢君は?」

「俺か、そうだな……カツカレーにするか」

「この時間からカツ……きつくない」

「俺は好きなものなら朝でも深夜でもいつでも食べれるぞ。それで今はカツカレーがマイブームなんだ」

「そ、そうなの」

 

なぜか少し香里が引きぎみで言った。

そんなことを話しながら俺たちはそれぞれみんなの頼まれたものを分担して持っていき食べ始める。

 

 

そして……

 

 

 

 

「うぐぅ……もう食べれないよ」

「だ、だお、お腹の中イチゴさんだらけ」

「さすがに無茶しすぎました〜」

「自業自得ね」

 

どれくらい時間が経ったのか分からないが、そこには食べすぎで動けなくなっているあゆ、名雪、栞がいた。

そしてその横で呆れた顔の香里がいる。

 

「しかし栞はいいとして名雪とあゆちゃんはこの後まだ予選があるっていうのに……」

「だ、だってこの前の約束で祐一君のおごりだったんだもん」

「私はあゆさんだけ好きなだけ食べていたのがうらやましくて」

「わたしも同じだよ〜」

「はぁ〜」

 

香里がため息をついてると放送が流れてくる。

 

『すいませんでした。予定よりも闘技場の修復に30分もかかりましたがそろそろ次のブロックが始まります』

 

そうか、もう一時間も休憩してるんだな。

 

『それで予定が結構繰り下がっているので予選CブロックとDブロックを同時に行うことになりました。
という理由でCブロック、Dブロックに出場選手は闘技場のほうまで来てください』

 

「へえ、二つのブロック同時にやるのか。で、誰か出る人はいるのか」

「……私と佐祐理」

「じゃあ応援しに行かないとなって、そうかこいつらがいるんだったな」

 

俺は腹を押さえて唸っている三人を見る。

 

「佐祐理たちはいいですからあゆさんたちを看ていてください」

「でも」

「……大丈夫、直ぐに帰ってくる」

「分かった。それじゃ舞に佐祐理さん頑張って勝ってこいよ」

「はちみつくまさん」 「はい〜」

 

そう言って二人は予選に行った。

 

 

そしてそれからまもなく放送が入る。

 

『それでは、予選CブロックDブロック開始します』

 

「始まったな。舞たち大丈夫だろうか」

「心配しなくても大丈夫よ。前にも言ったけどあの人たちは前回の優勝、準優勝コンビなんだから」

「でも、二つのブロック一緒にやってるから200人ぐらい出てるだろ。去年の成績からして一斉に狙われるぞ」

「あの人たちのコンビネーションは絶妙よ、一人で戦っているより何倍も強いんだから」

「なら、あの舞と佐祐理さん同士が戦うってことは」

「それも無いわね。あの人たちはある程度以上の人とは正々堂々一対一の勝負がしたいと思っているから」

「よく知ってるな舞や佐祐理さんのこと」

「当り前でしょ、いったいあたしは今日誰に勝ちたいと思ってこの大会に出てると思ってるの」

 

そうこう話していると会場のほうから歓声が聞こえてきた。

 

『これにより予選Cブロック、Dブロックから決勝トーナメントに残ったのは川澄舞選手、倉田佐祐理選手に決定しました』

 

そして放送が流れた。

その放送を聞いて香里のほうを見ると、ほらあたしの言ったとおりでしょと言いたげな笑顔をしていた。


あとがき

第10話終わりました。ついに二桁いきました。

なんかうれしいものがあります。

祐一「そこで作者よ。今回の話なんだが香里の出番がやたら多くないか」

それはたぶん私が香里属性のせいか書きやすいんです。

祐一「それと反対で北川の出番が無いな」

それは北川のセリフよりヒロインたちのほうのセリフが先に思い浮かんで出番がなくなるといった感じです。

もっと活躍させたいんですが、いつも大体一緒にいてるので。

祐一「そうかこれで一応疑問は晴れたな」

なら、次は第11話です。

それでは。

祐一「忘れてたけど今回C、Dブロックを祐一が見てない所で一気に終わらせたのって戦闘シーン思い浮かば無かったからだろ」

ぐはぁ

 

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