バトルフィールドオブチルドレン

第9話 雪王大会予選その1


『続いて10分後にBブロックの予選を開始いたします。出場選手の方は闘技場までおこしください』

放送が聞こえてくる。

Aブロック、なんだかんだ言っても一弥の圧勝だったな。

強さだけなら姉である佐祐理さんと同じ、AAランクぐらいあるだろう。

けどスタミナがまだ足りないな。

あれ位の戦いで疲れているようだったら佐祐理さんには勝てないだろうな。

まあDランクの俺が言えた立場ではないけど。

――っていうか、一弥は俺に敵対心を持っているんだよな……どうしようか。

 

「それじゃあたし、行ってきます」

 

俺がいろいろと悩んでいると栞が言った。

 

「栞ってBブロックだったのか」

「はい、そうですよ。頑張ってきますね」

「栞、気をつけてね」

「分かってますよ、お姉ちゃん」

 

そう言って栞は闘技場に向かっていった。

 

 

 

 

<栞視点>

 

『お待たせしました。これより、予選Bブロックを開始いたします』

 

観客席から歓声が沸き起こる。

そして周りの、選手の人たちの顔が真剣なものに変わっていく。

 

私も真剣に頑張らなくっちゃ。

祐一さんにいい所見せないと……ライバルは多いんですから。

 

そう思いながら私は武器職人であるお母さんが作ってくれた武器、砕破雷威銃(サイバーライフル)を取り出す。

ちなみに、武器の名前を考えたのもお母さんです。

なぜかお母さんは漢字が大好きで、自分の作った武器に当て字でも何でも漢字を入れたがるんです。

おかげで呼び難いったらないです。どうやったら雷威銃をライフルと呼ぶんでしょうか、雷も関係ないし。

――ってそんなこと考えているときではかなったです。

 

 

そうしてると、ドーンとファイアーボールが空に飛んでいきました。

試合開始ですね。

 

さて、どこからでもかかってきなさい……と思ってるんですが。

 

「何で私のところには誰もこないんでしょう」

 

せっかく身構えていたのに誰一人よってきません。

そういえばお姉ちゃんが言ってました。

『バトルロイヤル方式はまず強い人から狙われるわよ』って。

つまり私は眼中にないってことですか。

少し腹が立ちます……けど、それなら少しの間、休ませてもらいましょう。

 

 

『さあ、Bブロックも始まって少し経ちましたが、まだ脱落者は20人にも満たない。Aブロックとは違い、長い戦いになりそうだ』

『このBブロックにも注目する選手はいます。まずは前回、予選で去年優勝した川澄舞と激闘を…と、あー今その選手が場外にーー』

 

解説者の放送が入る。

どうやらこのブロックの勝ち抜け候補の人が大勢の人に場外へ飛ばされてしまったみたいです。

 

『気を取り直して、次に、去年3位だった美坂香里の妹、美坂栞選手』

『最後に、ついこの前、隣のエタニティーアイランドからきた留学生の人も注目です』

 

そしてその後続いて流れたこの放送で、さっきまで勝ち抜け候補の人のところに向かっていた人たちが、急に私のほうに向かってきた。

いえ、よく見てみると放送に流れたもうひとりの人の所にもたくさんの人が向かってます。

ツインテールの女の人みたいです。

さて、余所見も休みも終わりです。いきますよ!

 

まず私は近づいてくる人たちから距離をとる。

そして銃にピンポン球くらいの弾を込める。

 

「氷結弾《フリーズブリット》」

 

そして相手の足元を狙って撃つ。

 

ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 

「ぐぁ、足が凍って動けねぇ」

 

私の弾が当たった人たちがうずくまる。

そう、私が撃った氷結弾は相手を凍らすことが出来る。

 

「続いて、火炎弾《フレイムブリット》です」

 

次の私が撃った弾は足が凍った人たちを通り過ぎてその後ろで詰まっている人たちに直撃する。

もちろん当たった人たちはその名前どうり炎に包まれて暴れ出す。

 

「くそ、なんだあの武器は」「見たことねえぞ」

 

私が一瞬の内に10人もの人たちを倒したのを見て、私に集まっていた人たちが一歩後ろに下がる。

まあ、あの人たちが驚くのも無理はないです。

この砕破雷威銃は、私のお母さんが作った武器の中でも最高傑作に入る銃なんですから。

原理を言えば今までに撃った氷結弾や火炎弾等の特殊な魔力の詰まった弾を撃ち出しているだけなんですけど。

ちなみに弾一個につき10発程度撃てるようになっています。

それに他にもいろいろと機能が備わっています。

――って何で私はこんな説明をしてるんでしょう。

 

今、この周りの人たちが、驚いて引き気味な状態のうちにドカンと一発決めてしまいましょう。

私はバレルの所にある、三つのボタンを同時に押す。

すると、銃が雷威銃モードから撃砲(スマッシャー)モードへ変形をはじめる。

撃砲モードは、雷威銃モードのときとは違い弾1個につき1発しか撃てなくなる。

その代わり、威力は雷威銃モードのときと比べて格段に上がるって代物です。

 

「それじゃ、一気にドカンです。大爆発弾《エクスプロージョンブリット》」

 

そう言って構える。

それを見た周りの人たちは、逃げ出す者や、急いで止めようと突進してくる者たちがいますがもう手遅れです。

 

「発射ーーーーです」

 

ドゴーンという爆音を上げて、大爆発が起こる。

爆心地に近い人はもちろん、遠くのほうにいた人もその爆風に飲み込まれて場外に吹っ飛ばされる。

そしてリング上に残っていたのは私ひとりでした。

留学生の人も今の爆風で場外に行ってしまったみたいです。

と、いう事は……

 

『これにより予選Bブロックから決勝トーナメントに勝ち残ったのは美坂栞選手に決定しましたー』

 

よっしゃー、です。

そして喜んで私が観客席にいる祐一さんにVサインを送ると祐一さんは呆れた顔をしながら手を振ってくれました。

でも何で呆れてるんでしょう。


あとがき

第9話完成です。

祐一「思ってたより早くできあがったな」

はい、次のテストが来週でちょっと時間が空いたので。

祐一「で、今回は栞の予選の戦いと」

本当は今回でBからGまで終わらせて次は祐一と香里のいるHブロックに行く予定だったんだけどめちゃくちゃ伸びてしまいました。

はじめは栞が結果以内の全部を眠り薬で充満させて一瞬でBブロック終了だったのに。

何でわざわざ1対複数人の戦いなんで書いてしまったんだろう。

もうどう書けばいいのかものすごく困りました。

祐一「という事は砕破雷威銃なんかも……」

はい、全く影も形もありませんでした。

ちなみに砕破雷威銃は元ネタがあります。漢字なんかもそっくりそのままです。

分かった人はすごい。

あと留学生の人ですが、多分既に誰かわかっているかと思いますが。

物語にあまり関わってきませんので気にしないでください。

祐一「それじゃあ、次は第10話だな」

では、最後に今回、これの感想で2つほど指摘をいただいたので、かなり気にして書いてみたんですが……

ほとんど変わっていないかも……(2003/7/18)

 

  

 

 

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