バトルフィールドオブチルドレン

第5話  実戦訓練 前編


「急げー」

 

俺たちは急いで闘技場に向かっていた。

 

「やばいぞもう時間がない」

 

闘技場の入り口が青色から赤色に点滅している。

これは簡単に言うと出席や遅刻を感知する魔法だ。

赤になったらアウトだ。

 

「ふう、間一髪セーフだな」

「陸上部の部長の名は伊達じゃないんだおー」

「うぐぅ、しんどい」

「なんとか間に合ったわね」

「よしオレもなんとかセーフぐはぁ」

 

どうやら北川だけギリギリ間に合わなかったみたいだ。

魔法の罰で全身真っ赤っかである、服や髪の毛まで赤い。

 

「北川さんが真っ赤だ」

「あゆちゃん、ここでは遅刻をするとあんな情けない姿になるのよ」

 

香里の一言で北川が滝のような涙を流す。

北川浮かばれんな〜

 

「で、実践訓練ってどんなことをするの」

 

「一年のときは先生に戦闘の基本等を習うんだが、まあ例外もあるが。そして二年からはそれぞれにあった戦い方を練習する、
まあ簡単に言えば相手のいる自己練習みたいなもんだ。最近勇者も分野が多彩だからな、いつまでも全員同じ事を教えていられないんだ」

「でも一応それぞれの分野で先生がいるから安心していいよ。そしていつも先生からの話とかあるんだけど今日は無いんだよ」

「うん、わかった」

 

あゆが分かった所であたりを見回してみる。

すると気づいたことがあった。

 

「なあ香里、なんか今日みんなやけに気合入ってないか」

「それはね、明日が大会だからみんな最終調整に入ってるからよ」

「大会って何だ?」

「そうね、相沢君は去年の大会が終わった後に転入してきたし、授業でその話があったときは寝てたものね」

 

香里が刺のある話し方で言った。

 

「ボクも知らないよ」

「あゆは今日転入してきたばかりだからだろ」

「祐一がいえる言葉じゃないね」

「仕方ないわねあたしが説明してあげるわ……とその前にあゆちゃんランクって知ってる」

「ううん、知らない」

「じゃ、そこから説明しましょうか。ランクって言うのは基本的にはこの大陸でしか通じないけど強さの位みたいなものよ。
上からS・AAA・AA・A・B・C・Dの七種類があって明日の大会はこのランクを上げることができる大会なのよ」

 

流石香里だな、わかりやすい説明だ。

 

「特にこの大会では他のランクアップの認定と違って一気にランクを上げることができるのよ。
そして今度は大会の方ね、この大会は毎年一学期の初めにあるの。ルールとしては装備や持ち物に制限は特になし、
戦闘形式はよくある形式だけど予選を8ブロックに分けてのバトルロイヤル形式。
そこでトップで勝ち残った人がトーナメント形式の本戦に出ることができるの」

 

ほんとによくある形式だな、でもそれだけに分かりやすいが。

 

「で、その大会は全員参加なのか」

「そうよ、でも毎年結構棄権する人がいるわね。自信が無かったり大怪我する確立が高いから嫌だって人がいるから。
あ、そうそう言い忘れてたわ、場外や審判が戦闘不能と判断した場合、負けを認めた場合負けになるから。まああたり前よね」

「去年は誰が優勝したんだ」

「舞先輩よ」

「え、舞が」

「そうよ、二位が佐祐理先輩で三位があたしと名雪ね、今までの中で三年がトップ4に入らなかったっていうのはこれが初めてらしいわよ」

 

知らなかった俺ってそんなにすごい人らと一緒にいたんだな。

まあだからといって何が変わるわけでもないんだが。

そう思っていると香里があゆに何か話し掛けようとしていた。

 

「あゆちゃん、さっそくで悪いけどあたしと試合やってくれないかしら」

「え、いいけど」

「香里、本当に急だね」

「いきなり二年生に転入してきたことから考えて、そこそこの強さがあるはずだから明日のために実力を見ておきたいのよ」

「そうだね言われてみたら、わたしも気になるよ」

「それにあたしが見る限りトーナメントに残ってきそうな気がするのよ」

「うぐぅ、そんなことないよ」

 

香里にかなり実力を高く見られてあゆは顔を赤くして照れているようだ。

と、もうそろそろ試合が始まりそうな雰囲気になっていると後からすすり泣きの声が聞こえてきた。

そして見てみると闘技場の隅ですすり泣いている北川がいた。

まだ魔法の効力が続いているから、真っ赤なままなので気が付いてみると異様に目立つ。

地面にのの字を書いている、いまどき珍しいやつだ。

そういえば今の話に全く登場してなかったもんな。

 

「おい、北川そんなところにいてないでこっちこいよ」

「おお、相沢ーさすが心の友よ、お前だけはオレのことを忘れないでいてくれたんだなー」

 

いや今まで忘れてたんだけどな。

というか大声で走ってくるから周りから思いっきり見られている、呼ぶんじゃなかったかな。

 

俺のそんな心の声が聞こえたかのように、

 

「北川君目立つからこなくてもよかったのに」

「ていうか今まで忘れてたよ」

 

香里と名雪のきつい一言が入る。

 

特に香里からの言葉がきつかったんだろう北川は固まってしまった。

 

「さてこんな人はおいといてあゆちゃん試合はじめましょうか」

「え、いいの?固まってるよ」

「慣れてるから大丈夫よ。どうせ直ぐに復活するわ」

 

もう俺もこれ以上は何もいえない、成仏してくれ北川(まだ死んでねぇ)

そしてあゆと香里がリングに上がった。

 

俺と名雪はそれぞれ二人を応援している。

 

「香里頑張ってね」

「ありがとう名雪」

「あゆ、香里は強いからな勝ったらたいやき奢ってやるぞ」

「やったーようし頑張るよ!」

 

うっ、なんかあゆの後ろから炎が見える。たいやきであそこまで気合が入るなんて幸せなやつだなあ。

 

「なら私が勝っても何か奢ってくれるかしら、相沢君」

 

あゆとの会話が聞こえたのだろう、しかし……

 

「何で俺が香里の方まで奢らにゃならんのだ」

「あゆちゃんにあってあたしに無いのは不公平でしょう」

 

とあゆちゃんだけズルいわよという視線で見つめてくる。

 

「わかったよ。勝ったほうにだけ一つなんか奢ってやるよ」

「よし、あたしも頑張るわよ。それじゃそろそろ始めましょうか」

「そうだね」

 

そして急に静まり返り二人の間に緊張感が走る。

 

「それじゃ、開始の合図は俺がしようギブアップか場外に出たら負けだぞ」

 

そこで一息ついて。

 

「それでは試合開始!」

 

そして香里対あゆの試合が始まった。


あとがき

 

どうもマサUです。今までの最短記録で出来上がりました。

名雪「おめでとうだね」

これはこれは名雪さんありがとうございます。

名雪「……って心にも思ってないことはおいといて」

ひでぇ……

名雪「今回の話わたし出番少ない」

それはあまり人を出しすぎると書きにくいというわけで。

でも北川より出番がある気はするぞ。

名雪「ほとんど変わらないよ!もし次でも出番が少なかったらこのお母さんの目を盗んで持ってきたこのジャムで……」

次回は頑張って出番を増やしていただきます。

名雪「それでいいんだよ。じゃ私はこれで帰るね」

ふう帰ったか、しかし次はあゆと香里の戦闘なのにどうやって出番を増やせと。まあ戦闘シーン短くなるかもしれないけど。

まあいいか、なんとかなるでしょ。それでは第6話で。(2003/6/7)

 

ここらへんになってくるとさすがにプロローグに関わってくる話はなくなってきまして手直しまったくなしです。

というかここから先はさっきの理由で手直しがなくなります。(2003/9/20)

 

  

 

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