バトルフィールドオブチルドレン

第3話 転入生


教室に緊張が走る。

そしてドアが開いて転入生が姿を現しかけたとき。

 

ずべしゃ

 

「うぐぅ!」

 

いきなりこけた。

ドアのレールにつまづいたんだろう。

教室中から笑い声があふれる。

人気者になれる素質は十分だな。

 

とそこで俺は気がついた。

うぐぅ?どこかで聞いた事のある言葉だな。

それに赤いカチューシャにこの幼児体型も見たことがあるぞ、そう一年以上前に。

その思いは転入生が起き上がってはっきりとした。

 

「月宮あゆですよろしくお願いします」

 

こけたのが恥ずかしいのか顔を真っ赤にして言った。

男子の方から歓声が沸き起こる。

 

「みんな仲良くしてやってくれ、それで月宮の席は……相沢の前の席が空いているな」

 

なぜか空いている俺の前の席を指差しながら石橋は言った。

 

「ここだ」

 

俺は分かるように手を上げて場所を知らせた。

 

「あ、祐一君だ」

「おう、久しぶりだなうぐぅ」

「うぐぅじゃないもん」

「まぁ、気にするな」

「気にするよ」

「相沢君知り合いなの?」

 

香里が気になったのか聞いてきた。

そして周りを見てみるとみんなが驚いたような顔でこっちを見ていた。

いつもならもう寝ているはずの名雪でさえ起きてこっちを見てる。

なんか冗談を言いたくなるが言ったら殺されそうな勢いだな。

 

真面目に答えるか。

 

「あゆは俺がここに戻ってくる旅をしていたとき半年間だけ一緒に行動してたんだ」

 

ちゃんと真面目に言ったはずなのにものすごく疑いの目で見られているな俺。

 

「なら出会ったときの話をしてやろうか」

 

そして俺はあゆとの出会いの話をすることにした。

 

「そうあれは今から約一年と半年ぐらい前。俺がこのカノン王国に帰ってくるために旅をしていた時のことだ……

 

 

 

 

 

 

「くそーまた道に迷った」

 

後からあゆにおしえてもらって知ることになるんだが俺はエタニティアイランドの山奥にいた。

 

「もう3日も飯食ってないな」

 

もう俺はダメだと思っていたとき遠くからこっちにやってくる足音と声が聞こえてきた。

 

「うぐぅぅぅーーー」

「ん?これは悲鳴か?」

 

近づいてきた姿を見てみると女の子が何者かに追われていた。

 

「モンスターか!」

 

俺はとっさに戦闘体制に入ろうとしたが少女たちの移動スピードが速すぎる。

 

「間に合わない、このままではぶつかる」

「うぐぅーどいてー」

 

そして間も立たないうちに。

 

どしん!

 

ぶつかった。

 

「よけてって言ったのに」

「あのスピードでよけれるわけ無いだろ」

「こらー待てー」

 

後ろから追っかけてきているものから声が聞こえてきた。

言葉を話すってことはモンスターじゃない、じゃあ誰だ。

そう思っていると現われたのは普通のおじさんだった。

 

「やっと追いついた、さあお嬢ちゃんお金を払ってもらおうか」

「は、お金?」

「うぐぅ〜」

 

俺はわけがわからず状況を判断しようと二人をよく見てみた。

おじさんのほうは白いエプロンをつけている。

少女の方は何か入っている袋を持っている。

で、おじさんはお金を払えと言っている。

そこで俺はひらめいた。

 

「おい、お前何か盗んだのか」

「うぐっ!」

「あたりだな、何を盗んだんだ」

「……たいやき」

「たいやきー!?」

「そうだ、俺が丹精こめて作った芸術品を盗みやがったんだぜ」

「で、お前は金持ってんのか?」

「無い……」

「……仕方ないな、おじさんいくらだ」

「あんちゃんが払ってくれるのかい、―――円だ……よし毎度。嬢ちゃん助かったな、もうこんなことするんじゃねえぞ」

 

そう言ってたいやき屋のおじさんは帰っていった。

 

「助かった〜」

「助かったじゃない!うぐぅ」

「うぐぅ、ボクうぐぅじゃないもん」

「そんなこと言われても俺はお前の名前を知らないからな」

「あれ、そうだっけ。えとぼくの名前は月宮あゆだよ」

「俺の名前は相沢祐一だ。ところであゆ、俺がただで助けたとか思っているんじゃないだろうな」

 

そう言って俺はあゆに近づく。

あゆは俺の顔を見てあとづさる、後から思えば怖い顔をしていたんだろう。

 

「え……ボ、ボクを襲ったって何もいいことないよ」

「そんなことじゃない、それにお前みたいな幼児を襲うわけないだろうが」

「ボク幼児なんかじゃないもんれっきとした14歳だよ」

「嘘はいけないぞ」

「嘘じゃないもんちゃんと14歳だもん」

「そんな、俺はてっきり9歳ぐらいだと」

「うぐぅ……」

「悪かった、そんなに落ち込むな。それに俺が言いたかったのは助けた代わりにたいやきを少し分けてくれと言いたかったんだ」

「ほんとに」

「本当だ」

「……うんいいよ、はい」

「サンキュ」

 

 

 

 

 

 

 

……という感じで知り合ったんだ」

「それはまた普通ではあまり無い出会い方ね」

 

香里が少し呆れ顔で言った。

 

「その後もまだ少し話があってな……

 

 

 

 

たいやきを食べ終わったあと俺は道に迷ったことを思い出した。

 

「あゆ、そういえばここってどこなんだ」

「え、祐一君知らないの」

「もしかしてあゆも知らないのか」

「だって逃げることで精一杯だったんだもん」

 

そう悩んでいるときに人の気配が近づいてきた。

 

「おい、すまんがあんちゃんか嬢ちゃんここがどこか知らないか」

 

さっきのたいやき屋のおじさんだった。

 

 

 

……ということになったんだよ、でなんとか場所を調べて脱出したって感じだな」

 

話し終わった後周りを見回すと一応納得したような顔になっていた。

呆れたり笑っている奴もいるけど。

あゆだけは恥ずかしい過去をばらされたせいか顔を赤くしていた。

 

「もう話は終わったかそろそろ授業をはじめるぞ」

 

石橋の言葉で今は授業中だという事を思い出してみんな自分の席に帰っていった。

 

 

さて、午後の授業のために寝るとするかな。

 


あとがき

第3話完成です。

さて今回はこのバトルフィールドオブチルドレンのタイトルについてです。

祐一「元ネタは某羽ガン○ムのTVとOVAの間の話しからだよな」

そうです。で、日本語に訳すと子供たちの戦場となるのですね?

祐一「何で聞いてくるんだよ」

いやー英語が壊滅的に苦手なので。

祐一「多分あってると思うぞ」

で、この話しでは戦場と言うと普通の戦闘もあるけど子供の戦いと言うと恋愛もそうかなと思ったわけで。

祐一「子供に限ったことでもないと思うが」

ぐっ、まあそうですがそういうことということで。

祐一「そうだとしても普通の戦闘も恋愛とかもまったくかけていないじゃないか」

ぐはぁ、一番気にしていることを。

祐一「こんなダメなのはほっといてそれでは第4話で」(2003/5/14)

 

今回は手直しほとんどありません微妙なところが変わってるだけです。(2003/9/20)

 

  

 

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