バトルフィールドオブチルドレン

プロローグその1 スノーアイランドを探して


あー、何で俺はこんな所にいるんだろうか。

 

あたりを見渡すと、どこもかしこも荒れ果てた荒野。

西のほうに小さめの山があるがそれも荒れ果てている。

そんな中に俺とカチューシャをつけた10台前半の容姿をした少女が立ち尽くしていた。

 

「何で俺たちこんな所にいるんだ?」

「祐一君が道に迷ったからだよ!」

 

俺と一緒にいる少女――名前は月宮あゆ――が俺に向かって少し怒った顔で言った。

 

ちなみに俺の名前は相沢祐一。

今、俺は両親や親戚の人が住んでいる大陸であるスノウアイランドのカノン王国に向かって旅をしている。

その途中であゆと出会って一緒に行動するようになった。

そして俺たちがいるのはこの世界に存在する七つの大陸のうち北西に位置するエタニティーアイランドらしい。

らしいというのは俺があゆに聞いて知ったことだからだ。

というのも、どうやら俺は方向音痴らしくて北に位置するスノウアイランドに行くのになぜか全大陸を旅しているくらいだからだ。

……自慢にもなりゃしないな。

 

で、なぜ俺がそんな旅をしているのかという理由は後々話すとして、話を戻そう。

 

「何で俺のせいなんだ」

 

俺はやっぱり自分が方向音痴だとは思いたくないという気持ちで言った。

 

「それは祐一君が普通の人とは比べ物にならないほどの方向音痴だからだよ。これで何回目だと思ってるの」

 

でも、やっぱり認めるしかないようだ。

 

「まあ、そういうことにしといてやるから、すまんがあゆ、ちょっとこの近くに町か村が無いか見てくれないか」

「前半のセリフが気になるけど……いいよ見てくるよ、食料もなくなってきてるしね」

 

そう言うとあゆは背中から翼を生やして上空へ昇っていった。

 

なぜ飛べるかというとあゆは自由に翼を出し入れできて空を飛べる飛翼族(ひよくぞく)の出身だからだ。

ここ最近、道に迷ったときはほとんどこうやってあゆに上空から町や村のある場所を探してもらっている。

 

「祐一くーん」

 

あゆが戻ってきたようだ。

 

「どうだった、何かあったか」

「うん、あの小さな山の向こうに村があったよ」

「よし、じゃあそこに行くか」

「そうだね」

 

そんなわけで食料と、ついでに今日の寝床を確保するためにその村に行くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして四時間位かかってその村についた。

もう空は夕暮れ時で赤くなっている。

 

「着いたのはいいけど、ものすごい静かだな」

「うん……何かあったのかな」

 

人の気配はするのに生活感が感じられない。

 

「なんにせよ、とりあえず泊まる所を探さないとな」

「う〜ん、あの家とかはどうかな、大きいし宿屋かもしれないよ」

「まあ、このままでいるわけにもいかないしな」

 

そして、宿屋らしき家にたどりついた。

明かりが見えるから中に人はいるみたいだ。

 

そしてドアをあけようとすると17くらいの少女が飛び出していった。

そのあとを男の人が追いかけていったが諦めたようで戻ってきた。

 

「あの、何かあったんですか」

 

気になったので聞いてみる。

 

「いや……なんでもない、よそ者のあんたたちには関係ない話だ」

「そりゃ、関係は無いけどな。けど一応俺たち勇者をやってるんだ。力になれることもあるかもしれないし」

 

その言葉で男の人は俺たちを家の中に入れてくれた。

 

ここで補足として俺たちの世界の勇者って言うのはRPGとかによくある勇者じゃなくて文字のさすまま<勇ましい者>という意味だ。

ようはモンスター退治や用心棒、遺跡探検のような危険な仕事をする何でも屋みたいなものだ。

最近は勇者も分野が広くなってきて、魔法開発や武器開発など頭を使うものも増えてきている。

でも逆に仕事が無ければ近所の猫探しなどもしないといけないときもある。

ちなみになるための資格なんてものはなくて、名乗ればその時点で勇者になれる。

 

話は戻って、男の人に連れられて家に入った俺たちは、奥のほうにある部屋でこの街の村長にあわされた。

どうやらここは宿屋じゃなくて村長の家だったようだ。

そこで俺たちは村長から話を聞いた。

 

「で、簡単に言うと村娘を花嫁として差し出さないと魔族が村を襲うってことだな」

「はい、そういうことです」

 

う〜ん、なんかよくありがちな話だが放っておくことはできないな。

 

「わかりました、その魔族俺たちが倒します。いいよな、あゆ」

「うん、ボクもそんなの許せないしぜんぜんかまわないよ」

「本当ですかありがとうございます」

 

そんな感じで魔族退治をすることになった。

 

 

 

 

 

 

……なったのはいいけれど。

 

「何で、何で俺が花嫁姿をしなきゃならんのだー」

 

普通は女の子のあゆがやるもんだろう。

 

「それは祐一君があんなことを言ったからだよ」

 

俺の言葉を聞いて取引場所である村の教会のいすの下に隠れているあゆが怒った声で言った。

あぁ〜、なんで俺はあんな言葉いったんだろうか。

 

 

 

あのあと会議が開かれてどういう作戦を取るのかが話し合われた。

で、結局決定した作戦はお約束のような花嫁に変装した人が不意をついて倒すというものだった。

そして当然、花嫁役はあゆでいくことになりかけてたとき。

 

「あゆが花嫁衣裳着ても、子供っぽく見えるのは変わらないだろうな」

 

と、からかい半分で言った言葉にあゆが怒って、花嫁役をやらないと言い出してしまった。

そのおかげで、もともと中性的な顔をしている俺が花嫁役をする羽目になってしまった。

この顔のことは少しコンプレックスを抱いてるのでかなり嫌だった。けど、結局押し切られてしまう。

おまけに化粧やドレスも着替え終わったあと、手伝ってくれていた女の人たちが俺の花嫁姿を写真に取ろうとしたりしてひどく疲れたし。

口は災いの元だとはよく言ったものだよな。

まあ、こうなったものは仕方ないし、もうすぐ予定の時間だからちゃんとしてないとな。

 

 

 

そして、少し経ったころ予定の時間である午後九時を表す教会の鐘が鳴った。

その鐘が鳴り終わったころ教会の扉がゆっくりと開いた。

 

 


あとがき

どうもマサUです、バトルフィールドオブチルドレン(改訂版)プロローグその1でした。

久しぶりに書いたので少し出来が微妙だったり。

改定前から読んでくださった方は、またプロローグからかよを思うと思いますが、

先のことをあまり考えずに書き始めたために物語上必要だと思われる説明がしきれないという事になりまして……

改定することにしました。

このプロローグは実は改訂前でサイドストーリーにしようと思っていた話なんですがこうなってしまいました。

全部でその3まであると思います。

あと、改訂前の1話から9話までの話はプロローグが変わったために起こる矛盾みたいなのを変えるだけで、

それ以外はほとんど変わらないので前の9話の続きもなるべく早く更新できると思います。

最後にTopページの右のほうに日記が出来たので、そちらのほうもよろしくお願いします。

それでは次はプロローグその2で。

 

感想は掲示板メールへお願いします。

 

 

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