バトルフィールドオブチルドレン

おまけその1  超々短編 あるテスト前の1コマ 


「んあ〜」

 

俺がカノン王国にやってきて約3ヶ月となる6月の終わり。

俺は唸っていた。

 

「何唸っているのよ、相沢君?」

「ああ、香里か……」

 

俺は力なく答える。

今は放課後で名雪は陸上部に行った。どうやら才能があるらしく部長さんに気に入れられているらしい。

名雪は王女としての立場ではなく、ちゃんとした自分を評価してくれていて喜んでいた。

 

「もうすぐテストだろ、なのになんでレポートまで提出しなきゃいけないんだ?」

 

そう、俺が唸っていたのはレポートのことだった。

 

アカデミーではそれぞれの期末に筆記試験、実技試験、レポート提出の3つの課題がある。

その内、2つ以上赤点、不合格になると即、留年決定なのだ。

筆記試験は今はまだ隠している魔王の右腕に蓄積されている血の記憶と自分の経験から1年の1学期の内容ならほぼ楽勝だろう。

けど実技が赤点確実だろうからなぁ……

だからレポートは絶対に仕上げないといけないんだが――全く手がつかない……

 

「仕方ないでしょう、ウチは文武両道の上、将来どの分野に進むか考えるという所なんだから」

 

そうなんだよな。秋子さん、完璧求めすぎてるよ〜

 

「そういや香里はレポートどうなんだ?」

「あたしは半分以上終わってるわよ」

 

得意げに香里が言う。

 

「なあ、どんなのを書いてるんだ?参考程度に聞きたいんだけど」

 

俺がそう言うと香里はかばんから書きかけのレポートを出して見せてくれた。

 

「なになに、TRIZの応用……TRIZって何だ?」

「想像的問題解決の技法って言ってね、いろんな技術や発明って何かしらのパターンがあるの。
それを研究してデータとすることで誰でも発明家になれるかもしれないっていう考え方よ」

「ふ〜ん、発明家ね。香里は発明家になりないのか?」

「そういうわけじゃないわよ。まあ、興味はあるけどね。あたしね、このアカデミーを卒業したら世界中を旅しようと思っているの。
だからその間にでも考えようと。まだまだ人生は長いわけだしね」

「そうか、でも香里が発明するとなるとやっぱり武器か防具とかになるかな?」

 

俺は香里の両親の職業からそう思った。

 

「そうねぇ……けど、あたしが作るとなるとどういうものになるかしら?」

 

そう言って香里が考え込む。

すると、ほどなくして香里の顔が青くなっていく。

 

「ど、どうしたんだ?香里!」

「あ、あたしが思いつく武器、全部お母さんが今までに作ったものばかりだわ……」

「それはそのイメージが強いからじゃないか?それに世界的に有名な武器職人の香里のおばさんと同じ事を思いつくなら良い事だと思うけど」

「い、いえ……ダメだわ……あたしには発明家は向いてない……」

 

そういって香里はまるでぬけがらのように教室を去っていった。

 

数日経って、俺は香里のおばさんが作る武器がギミック搭載のトンでも武器が多いことを知った。

そしてその武器がどれほどのものかはその時から9ヶ月ほど経った時、雪王大会の栞の武器で感じる事となる。

 

最後に、香里がこのとき提出したレポートが全く違う物になっていたのは想像に難くない……


あとがき

と、いうわけで唐突に思いついたはいいが1話にするには程遠いからおまけにしよう企画その1「あるテスト前の1コマ」でした。

あまりにも今回は短すぎるので自動リンクには登録しないと思います。

次のおまけ2のバレンタインはこれよりはまだ長いし、登録するかもです。

今回のこの話は私自身がこれを書く数十分前までレポートで死んでいた所から思いつきました。

ホントはバトチルのおまけにするつもりは無く、一般のSSSSくらいにしようかなと思ってたんですが。

発明家の所で香里の母親を思い出してバトチルの方がまだオチをつけれるという事で変更。

ちなみに香里のレポートで言ってたTRIZというのは実在します。

私がゼミで習っている事なのでww

 

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